2018 Fiscal Year Research-status Report
Universal constraints in code switching in Japanese/Chinese bilingual children
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17K02670
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中本 武志 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (10292492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 大厚 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (00272021)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 統語論 / ミニマリスト・プログラム / フェイズ / 語順 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究実施計画に基づき、データの収集と整理を行うと同時に、理論構築を目指した。 研究成果の中間発表として、生成文法のミニマリスト・プログラムにおけるフェイズの概念が、コード・スイッチングが生じる場所を予測する重要な手がかりになることを示すという内容の発表を、第31回パリ東アジア言語学会にて口頭発表し、Waltraud PAUL や Victor PAN などの著名な学者と意見を交換した。 生成文法では、文はいくつかのパーツに分けて音声部門や意味解釈部門に送られるという仮説が立てられている。これが正しければ、一つのパーツの中ではコード・スイッチングが起きず、パーツとパーツの間では生じうるという予測が可能である。 現在までのところ、日本語と中国語におけるコード・スイッチングは、他の言語ペアに見られるそれとほぼ矛盾しないことが確認されつつある。これはコード・スイッチングが決して個別の文法を持つのではなく、普遍性を持つことを示しており、生成文法による説明が正しいことの証左となる。たとえば、英語と朝鮮語における軽動詞内のコードスイッチングは日本語と中国語の軽動詞内のコードスイッチングと非常に類似している。 なお、理論の構築に伴い、中国語と日本語の受動態に関して新たな知見が得られたので、この点についても国際学会で口頭発表を行った。 バイリンガル幼児の発話の文字化については、40時間分を終えることができた。特に、他の言語学者が利用できるよう、CHILDSの形式に則って文字化している。今までの所、仮説に対する反例は見つかっていないが、さらに新しいデータを求めて、文字化を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイリンガル幼児の発話の文字化は順調に進んでおり、コードスイッチングのデータも集まりつつある。CHILDSの形式に則っているため、いくつかは公表可能な段階にある。 言語理論による分析についても、国際学会での発表を重ね、来年度は論文にまとめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
バイリンガル幼児の発話の文字化は今後も継続して行う。 終助詞をフェイズのComplimentizerとすることで、コードスイッチングの位置を予測できるとする論文をまとめる予定である。 また、軽動詞と語根におけるコードスイッチングについて、データをまとめつつあり、現段階では予測が正しいと思われるので、この点についても学会発表を行うとともに、論文にする予定である。
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Causes of Carryover |
若干の繰越金が生じたが、誤差の範囲内と考えられる。
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