2019 Fiscal Year Research-status Report
他動性と言語類型ー実証的他動性理論の構築を目指してー
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17K02681
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鄭 聖汝 大阪大学, 文学研究科, 講師 (60362638)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 他動性の顕著性 / 言語間の相違 / 中国語 / マレーシア語 / ヒンディー語 |
Outline of Annual Research Achievements |
言語間に見られる他動性の顕著性(transitivity prominence)の相違を調べるために、今年度は特に中国語・マレーシア語・ヒンディー語の①「言語使用調査」と②「対訳資料調査」に力を入れて作業を進めた。前年度までの日本語・英語・韓国語を入れると、6言語に対する①の基本データが確保でき、また②の対訳資料の入力・逐語訳(注釈)も6言語の作業が完了した。 これに加え、6月には中国を訪問し、2つの招待講演(東南大学)を行うと共に、Haowen Jiang氏(北京大学)の協力を得て、中国語データのダブルチェックを行うことができた。また、8月のマレーシア訪問では、情報提供者のAina Hiyama氏(大学生)の協力を得てマレーシア語の調査を行い、12月のインド訪問では研究発表(Deccan college)と共に、ヒンディー語の追加調査も行うことができた。これにより、この3言語の言語使用上に見られる他動性の顕著性を測れる基本データが揃ったわけだが、それは今年度の大きな成果である。今後は、以上の調査結果を以って、海外共同研究者の柴谷方良教授(ライス大学)と議論を深めながら、さらなる理論的考察を行い、言語間の相違や類型的特徴を見極められる分析を推し進め、最終年度(来年度)には他動性に関する理論的貢献という最終目標に漕ぎ着けたい。
研究成果として、投稿論文1本(印刷中、2020年3月刊行『言語研究』157号)がある。また、Chung(2919)(大阪大学)とChung (2019)(Decan College)および、Masayoshi Shibatani and Sung-Yeo Chung (2019)とMasayoshi Shibatani,Sung-Yeo Chung and Haowen Jiang (2019)の東南大学招待講演など、合わせて4本の研究発表がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度目標としていた言語調査はすべて計画通り完遂できた。また、6言語の基礎データが確保できたことにより、言語間の相違や類型的特徴に対する大まかな見通しが付き、次年度の研究に向けて更なる進展が見込まれた。但、今年度3月に計画していた2件の研究発表(ソウル大学)が新型コロナヴィルスの影響によりキャンセルされたが、とりあえずこれも来年度9月頃に延期され、発表できる機会が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に計画した8言語の中で、タイ語とテルグ語の調査はまだ十分に進捗していない状況である。来年度(最終年度)はこれらの2言語に対する現地調査を行い、データの確保および分析を行っていく計画である。ただ、現在世界的に流行している新型コロナヴィルスの影響で海外調査ができない可能性もあり、不安があるが、その場合は国内で母語話者を見つける方向で考えたい。言語調査の内容は、今年度と同じ要領で調査項目を作成し、それぞれの言語で翻訳作業を行い、現地調査に備える。対訳資料調査の分量・アンケート調査の期間および規模もこれまでと同じである。現地調査の期間は、夏休みと冬休みの期間を利用してそれぞれ2週間ほどを予定している。また海外研究者の協力を得て現地で2名ほどインフォーマントを採用し、調査票を使って一定の文法現象を調査する。得られたデータ(8言語の言語事実および使用実態に関する調査結果)はすべてエクセルファイルに入力して、テータベース化する。これらのデータに基づき、海外共同研究者と年に二回ほど研究打ち合わせを行い、理論構築を行っていく。成果発表・論文執筆などについては、単独または共同で国内外の言語学関連学会において成果を発表し、学会誌にも積極的に投稿する。また、8言語に対する4年間の研究成果を報告書としてまとめ、印刷する。将来的には、科研費の研究成果公開促進費の出版助成を受け、出版・公開する予定である。
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Research Products
(6 results)