2018 Fiscal Year Research-status Report
A Cognitive-Pragmatic Study of the Complex Procedures Encoded by the Multiple Occurrence of Discourse Markers and Fillers and Dialogue Construction
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17K02683
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大津 隆広 九州大学, 言語文化研究院, 教授 (90253525)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 関連性理論 / 談話標識 / フィラー / 多重生起 / 手続き的制約 / 複合的手続き |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、映画のスクリプトにおける談話標識とフィラーの組み合わせ現象を収集し分析を行った。結果としては、昨年度のBNCおよびWordbanksの場合と同じような組み合わせの傾向が見られた。 本結果は、“In Other Words and I Mean: Reformulation and Metarepresentation” というタイトルで、2018年7月に4th International American Pragmatics Conference (Albany, New York) (Presenter Abstracts https://www.albany.edu/ampra/88242.php)にて口頭発表を行った。in other words(談話標識)とI mean(フィラー)は類似の談話機能を持つため、BNCやWordbanks、映画のスクリプトを調べてみても、組み合わせの例はほとんど見られない。しかしながら、in other words発話はI mean発話で多くの場合言い換えることが可能であるのに対して、その逆はほとんど不可能である。これは、2つの手続き的表現が異なる手続き的制約を符号化しているためであり、I meanにより言い換えた発話は先行発話のthoughtの表示であり、in other wordsで言い換えた発話は先行発話の解釈であることを明示していると言える。 さらに、昨年度と今年度の言語コーパスの分析から観察された談話標識とフィラーの組み合わせの順序について、関連性理論にて提唱されているmassive modularity(広範囲のモジュール性)という概念により、語用論モジュール内の階層によるものであると考えることが可能であろう。言語コーパスの例に基づく論理的説明は平成31年度(最終年度)にて行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国際学術雑誌Journal of Pragmatics 134への掲載が決まった拙論“Multifunctionality of After All: A unitary account”の修正と編集が2018年の秋までかかり、そのあと、もう一つの論文"From Justification to Modulation: Similarities and Differences of After all and Datte"が別の国際学術雑誌 Pragmatics & Cognitionに掲載が決まり、その修正と編集が始まった(2019年度中に掲載予定)。そのため、本年度の研究の予定であった映画のスクリプトからの組合せデータの収集は済んだものの、COCAの収集が全て終わることができず、結果として分析まで終了することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究をもとに、最終年度の研究では以下の課題に取り組む予定である。 (1)談話標識・フィラーの4つの組み合わせパターンとパターン内での個々の組み合わせ(多重生起)をもとに、発話者の意図した発話解釈への指図と対人機能について、会話(対話)などにおける使用状況別にリスト(ガイドブック)を作成する。 (2)massive modularity(広範囲のモジュール性)の観点から、第一次談話標識と第二次談話標識およびフィラーの組み合わせの順序の傾向と語用論モジュールの階層性の関係について認知語用論的説明を行う。
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Causes of Carryover |
本来はノートPCを購入の予定であったが、2019年6月に香港で開催される国際語用論学会にて口頭発表を行うための海外渡航日を十分なものにするために、次年度の助成金と合わせて使用することにした。
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Research Products
(4 results)