2020 Fiscal Year Annual Research Report
A Cognitive-Pragmatic Study of the Complex Procedures Encoded by the Multiple Occurrence of Discourse Markers and Fillers and Dialogue Construction
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17K02683
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大津 隆広 九州大学, 言語文化研究院, 教授 (90253525)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 談話標識 / フィラー / 多重生起 / 複合的手続き / 関連性理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
BNC、Wordbanks、COCA、洋画のスクリプトのどの言語データにおいても、談話標識とフィラーの組み合わせの中で「第一次談話標識+第二次談話標識」「第一次談話標識+フィラー」「フィラー+フィラー」の組み合わせが優位であること、「第一次談話標識+第二次談話標識」<「第一次談話標識+フィラー」<「フィラー+フィラー」の順に組み合わせパターンの頻度が高いことがわかった。「第一次談話標識+フィラー」の典型的な組み合わせである“but you know” “but I mean” “but you see”などでは、“but”のみで相手の発話内容をストレートに否認するのではなく、聞き手を意図する結論へ誘導したり(“you know”)、話し手の思考を表現しようとする誠実さを示したり(“I mean”)、結論に至る前提を想起させる(“you see”)ことにより、発話態度の緩和という対人機能に貢献している。一方、頻度が最も多い「フィラー+フィラー」の組み合わせの中で典型的な例である“I mean you know” “you know like” “you know I mean” “well I mean” “well you know”などは、発話解釈への多重な推論を導くことで、聞き手の解釈に微調整を行いながら会話を構築する対人機能を反映していると言える。余剰的な処理労力は発話解釈の微調整および円滑な会話の実現という認知効果に反映されている。 談話標識とフィラーの生起の順序は、発話の意味解釈に関わるモジュール、その解釈が聞き手に受け入れられるよう調整・警戒するモジュールの順に活性化されるということを反映している。今後は、談話標識やフィラーに加えて、間投詞が組み合わせの最初に用いられることに着目し、広範囲の語用論的モジュールの階層性の研究へとつなげていきたい。
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Research Products
(2 results)