2017 Fiscal Year Research-status Report
Basic research on morpho-phonological phenomena in Amakusa dialects of Japanese: Towards construction of dialectal typology
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17K02689
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
松浦 年男 北星学園大学, 文学部, 准教授 (80526690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒木 邦彦 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 准教授 (80613380)
佐藤 久美子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 研究員 (60616291)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 促音 / 天草諸方言 / 語根複合 / 山形県村山方言 / 長崎市方言 / 時制 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は天草諸方言ならびに関係する諸方言に関して下記の調査研究を行った。 (A)準備作業:1. 先行研究となる論考や方言辞書類を精査し調査項目を選定した。2. 方言記述の準備として,Linguistics and Asian Language 2018において、時制の意味を分析・記述する方法論を説いた。3.アクセント記述の準備として,複合語アクセントの理解方略に関する実験結果を発表し,個別語彙のアクセントによって複合語アクセントの聴取における脳波反応に違いが見られることを明らかにした。 (B)天草諸方言に関する研究:1. 深海方言における二字漢語の促音化について調査を行い,音節末と音節頭で調音位置が同じときに限り促音化が見られることを明らかにし,その結果を最適性理論に基づいてモデル化した。3.天草諸方言を含めた九州西南部における数詞+助数詞の組み合わせや二字漢語といった語根複合における促音化の分布について整理し,語根複合に有声促音を持つ多くの方言で音節末尾と後続音節の初頭子音の調音位置が同じとき促音化が起こる傾向にあることを報告した。 (C)その他の諸方言に関する研究:1.天草諸方言と同じように有声促音を持つ山形県村山方言における有声促音の音声実現に関して分析し,天草諸方言と同じく閉鎖区間全体にわたり声帯が振動していることを示した。2. 天草方言と同じく二型アクセント体系を持つ長崎市方言の文音調の研究を進めた。長崎市方言における、語と文に生じる類似した音調パターンについて、統一的な分析を行い、理論的な説明を試みた。3.天草諸方言と同じく二型アクセント体系を持つ佐賀県北方町方言の外来語アクセントならびに音声実現について分析し,外来語に関しては非下降型の分布が増えていることを明らかにし,音声実現に関しては非下降型に分類される語において末尾に下がり目が見られることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本格的な調査のための準備として調査票の整備の他,現象の基礎的な記述を進め,それらを論文や学会発表の形で公開することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
分担者がそれぞれ音韻・形態に関する記述を進めていく予定である。また,その分析を随時行い,学術大会や打ち合わせ会議において成果を報告する予定である。
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Causes of Carryover |
繰越理由は,2018年3月下旬に使用する予定であったが、手続きの都合上、2019年度の執行となったことによる。これらは海外で研究発表を行なうための旅費として、2018年3月下旬に既に使用している。
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Research Products
(7 results)