2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02697
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
森田 順也 金城学院大学, 文学部, 教授 (20200420)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 形容詞化 / 統語ー形態インターフェイス / 分散形態論 / 大規模コーパス / hapax |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、子供による言語の獲得、とりわけ語彙の獲得の説明-子供が短期間に大量の語を獲得できるのはなぜか―を最終目標とする。本研究では、「分散形態論」の文法モデルを基盤として、形態統語的現象の中心である形容詞化のプロセスを対象として研究を着実に推進してきた。具体的には、下記1-3の調査によって形容詞化の創造的・普遍的側面を浮き彫りにすることを試みてきた。1.大規模コーパスに見出される日英語の形容詞形hapax legomenonを調査することによって、形容詞化表現の創造的な側面を明らかにする。2.収集された日英語の形容詞化の語形を精査することにより、語形決定の規則性を明らかにする。3.形容詞化に関する日英語の句の包摂の事例を収集・分析することによって、形容詞化の主要なプロセスが談話的文脈に依存して統語機構で行われることを示す。上記の研究成果を公表するために、Artemis Alexiadou et al. (eds.), The Syntax of Roots and the Roots of Syntax, Oxford University Press, 2014の批評を公表した。対象本は主に分散形態論を中心とする反語彙主義の立場から書かれたものであるが、その概要を紹介し、論評を加えた。具体的には、大規模コーパスから得られる豊富なデータを使用して、反語彙主義の各システムの長所及び短所を例証した後、システムの改善点を示唆した。また、5th International Conference on Grammar and Textにて、"Discursive Morphological Extension: Agentive and 'Unagentive' Derivatives in English and Japanese"という題目で研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、形態的機構の仕組み及び統語的機構との相互関係の解明を目的として、形容詞化表現を規則的に生成するメカニズムを明らかにする。そのために、「派生形容詞及び複合語形容詞はレキシコンに貯蔵されるものとされないものとに区分される」を含む計7つの作業仮説を設置し、計画通りに、以下の各ステップを踏んで仮説の検証を行った。 第一のステップとして、LehnertのReverse Dictionary of Present-Day Englishを利用して「形容詞的受身」「過去分詞形容詞」「両者の複合語」及び「-able形容詞及び複合語」のリストを作成した。 第二に、hapax legomenonの形容詞化表現のリストを作成した。具体的には、ステップ1で作成したリストの各語彙項目を“The British National Corpus ”で検索し、hapaxの形容詞化表現を選別した。またBYU-BNCのwild cardの検索機能を使って、上記の検索を補った。 第三に、ステップ2で作成したリストの各語彙項目をBNCで順次検索し、上記の作業仮説に照らし合わせて必要な形態・統語的情報を、丹念に記録していった。最後にデータ解析を行い、作業仮説を検証した。 上記の研究成果として、Artemis Alexiadou et al. (eds.), The Syntax of Roots and the Roots of Syntax, Oxford University Press, 2014の批評にて、上記の豊富なデータを利用して反語彙主義の各システムの長所及び短所を例証し、システムの改善点を示唆したことが挙げられる。また、同成果を公表するために、5th International Conference on Language and Literatureにて研究発表を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、形態的機構の仕組み及び統語的機構との相互関係の解明を目的として、形容詞化表現を規則的に生成するメカニズムを明らかにすることにある。平成29年度は、「受動的動詞由来形容詞」について調査を行った。平成30年度は、「能動的動詞由来形容詞」及び「名詞由来形容詞」について調査する。具体的には、最先端言語理論に基づき一連の仮説を設定した後で(平成29年度のものと同一の7つの作業仮説を仮定する)、各種の形容詞化表現に関して、大規模コーパスとインフォーマントチェックによって詳細な事実観察を行いながら、作業仮説について各ステップを踏んで検証していく。 第一のステップとして、LehnertのReverse Dictionary of Present-Day Englishを利用して、「形容詞的(現在)分詞」「現在分詞形容詞」「両者の複合語」「-ive形容詞及び複合語」「名詞由来の-ed形容詞」及び「N-ful/-ous/-y形容詞」のリストを作成する。 第二に、hapax legomenonの形容詞化表現のリストを作成する。具体的には、ステップ1で作成したリストの各語彙項目を“The British National Corpus (BNC)”で検索し、hapaxの形容詞化表現を選別する。また、BYU-BNCコーパスのwild cardの検索機能を使って(e.g.「*aableで終わる全ての語を頻度順にリストせよ」)、上記の検索を補う。 第三にコーパスの検索を行う。ステップ2で作成したリストの各語彙項目をBNCで順次検索し、上記の作業仮説に照らし合わせて必要な形態・統語的情報を、丹念に記録していく。 最後にデータ解析を行い、作業仮説を検証する。その際に、複数のインフォーマントによる文法性のチェックによって、コーパスに基づく検証を適宜補う。
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