2021 Fiscal Year Annual Research Report
Conditionals and topology; the origins of non-monotonicity
Project/Area Number |
17K02699
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
今仁 生美 名古屋学院大学, 外国語学部, 教授 (20213233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田窪 行則 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 所長 (10154957)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 条件文 / トポロジー / 非単調推論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、条件文と位相空間の相関を考察することを目的とし、特に条件文が非単調推論になるメカニズムの解明を目指した。 条件文の非単調性が現れる一つの例は、条件文にモダリティが含まれるときである。たとえば、「花子が来るなら、太郎が来る」は、誘導推論の「花子が来ないなら、太郎が来ない」を導出するが、それだけでなく、「花子が来ないなら、太郎が来ないかもしれない」のような非単調推論も誘導する。この問題に対する本研究の暫時的な結論は、「条件文は、実質含意ではなく、位相空間的な特性をもつ「可能性」の集合である」というものである。ここでいう「位相空間的な特性をもつ可能性」とは、たとえば、6面体を例とするなら、6面体は面に関する可能性の集合(たとえば、「A面なら上を向いている」、「B面なら右を向いている」、「B面とC面は側面である」等の集合)である。つまり、ここでいう「可能性」は「組み合わせ論」的な特性を持っている。このとき、「A面が上を向いているなら、D面は下を向いているかもしれない」は、組み合わせの可能性から導出できる。条件文における(非)単調性推論も、可能性の組み合わせが背景にある可能性がある(この意味では、本研究の着眼点はinquisitive semanticsに近い)。ただ、この性質が条件文の非単調性に正確にはどうつながるかに関しては、残念ながら結論は出なかったため、より詳しい分析については今後の課題としたい。
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