2019 Fiscal Year Research-status Report
複合述語構文の、話者間・同系言語間・異類型言語間における変異
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17K02703
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
山部 順治 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 准教授 (00330598)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オリヤ語(オディア語) / オリッサ州(オディシャ州) / 類型論 / 統語論 / 格 / フィールドワーク / 九州方言 |
Outline of Annual Research Achievements |
諸言語の複文の統語的性質に関して、事実を発掘・整理しそれに理論的説明を与えた。研究対象言語はオリヤ語(Odia, Oriya, インド東部、印欧語)で、その他、補助的に日本語を扱った。今年度の研究実績は、具体的には次のとおり。 (1)インド・オリッサ州へ2回の調査旅行(次のaとb)を実施し、オリヤ語に関する資料を収集した。 a. ウトカル大学(ブバネスワル市、8~9月)では、1か月の弱の期間、3名の話者と毎日合わせて4~6時間の面接を持った。そのほか、話者約50名対象のアンケート調査を行った。同大学での調査では、数点の文法項目に関して、複数人数の話者の間で、十分な一般性を確認するとともに、数点の変異の存在を明らかにした。 b. カタック市(12~1月)においては、1か月弱の期間、毎日4時間ずつ、オリヤ語話者1名の協力者を対象に面接調査を行った。ここでは、20年来の旧知の協力者とともに、詳細にわたる項目を取り上げ、長年にわたり蓄積した資料を拡張・精緻化した。 (2)勤務校(岡山市)においては、オリヤ語資料の整理・考察、日本語の関連事象についての資料収集、理論的考察を行った。日本語の複文構文の用法について、またその他に、混成語のアクセントについて、約100名のアンケートを繰り返し実施し、話者間変異に関する資料を得た。 (3)成果発表は、オリヤ語の研究に関しては次のとおり:インド言語学会(11月および予稿集)と、日本アジア学会(10月)、日本言語学会(20年6月予定)。日本語の研究に関しては、国内研究会(7月)で行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)インド・オリッサ州における調査に関しては、2つの実施環境(下記)が得られた。そのおかげで研究は大いに進捗した。 a. カタック市においては、この20年来の調査協力者1名から、当初予期した量・質の資料を収集できた。 b. ウトカル大学においては、18年度から調査を開始し、19年度も継続した。同大学の教員および大学院生の協力を得た。これによって、オリヤ話者間の変異を解明できるなど、本研究計画時に予期した以上の成果が得られた。 (2)日本における研究に関しては、順調に進展した。具体的には、インドで得た資料の分析に関して、および、関連する日本語の資料収集・分析に関しては、予期した量・質の記述的成果が得られた。 (3)成果発表に関しては、予期に近い進捗を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
20年度は、オリヤ語の現地調査を中心に研究を行う。19年度から延期しているオリッサ州での調査を、コロナ禍の終息を待って実施する。19年度までに確立したオリッサ州での研究環境を維持する。得られた資料について理論的に意義付けし、また理論的観点から沸き起こる新たな調査項目を設定し事実を発掘する。
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Causes of Carryover |
当初、インド・オリッサ州での調査の実施を20年3月に予定していたが、コロナ禍のため延期した。そのため次年度使用額が生じた。20年度中に同調査を実施しその経費の一部として使用する計画である。
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Research Products
(4 results)