2021 Fiscal Year Research-status Report
マルチモーダル分析によるメタ・コミュニケーションの日韓対照研究
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17K02712
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
舩橋 瑞貴 群馬大学, 国際センター, 准教授 (20533475)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日韓自然発話データ / 対照研究 / メタ・コミュニケーション / 談話管理機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、複数の言語使用場面における日本語と韓国語によるメタ・コミュニケーションを、マルチモーダルな視点から分析し、その様相を明らかにすることである。メタ・コミュニケーション、および、メタ・コミュニケーションに付随してみられる言語現象から、言語間で差異が推測されるものを取り上げ、継続して分析を行った。分析より得た知見、および、実施した研究活動は次の通りである。 話者一人がある程度まとまった発話を行うモノローグに見られる、談話管理機能を担ったメタ・コミュニケーションに注目した。日本語母語話者による発話、および、日本語学習者(学習者の母語は韓国語を含む5言語)における発話を比較分析した。得られた知見は、両言語におけるメタ・コミュニケーションを考える上で示唆を与えるものとして、口頭発表を行い、論文にまとめた。 また、本研究において既に、「助詞開始発話」(発話頭に非自立語である助詞が現れる発話)が、日本語では広く様々な言語使用場面において散見されるのに対し、韓国語ではごく限られた言語使用場面に限定的にしか見られず、一般的な現象とは言い難いことを得ているが、その知見と上記の分析結果を照らし合わせると、接続表現(そして/それで/で)の使用において、予想と異なる韓国語を母語とする学習者の傾向が窺われた。そのため、この点に焦点を絞り、分析を継続することとした。分析を継続するための追加データとして、韓国語母語話者による3分程度のモノローグ約50名分を収集した。今後は、このモノローグデータを資料として、メタ・コミュニケーションの中でも、談話管理機能を担う発話の分析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
韓国国内で顧客会話(映像データ)の追加収集を行う計画であったが、現状、現地にてのデータ収集が難しい。この現状に加え、新たに、談話管理機能を担うメタ・コミュニケーションに注目すべき点が得られたため、顧客会話の追加収集に代わり、モノローグデータの補強を行った。収集したモノローグデータの整理は、概ね順調に進んでいる。次年度は、このモノローグデータを資料として、談話管理機能の担う言語現象を中心に、両言語間の異同を分析する計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
収集したモノローグデータの整理を進める。研究協力者とともに、談話管理機能を担う言語現象を中心に抽出作業を行い、分析を行う。得られた知見は日本国内の関連学会等で発表し、論文としてまとめる計画である。
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Causes of Carryover |
韓国国内で顧客会話(映像データ)の収集を行いデータの補強を行う計画であったが、渡航およびデータ収集ができなかったため、予定された旅費の支出がなかった。予定していた謝金は、モノローグデータの支出とした。2022年度は、モノローグデータの整理(文字起こし、翻訳費)に支出する予定である。研究成果を発表する場としては、日本国内を検討しているが、韓国への渡航が可能になった場合は、韓国国内開催の学会等も検討する予定である。
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