2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02728
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
澤田 達也 京都産業大学, 外国語学部, 准教授 (20647599)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中国語学 / 中国語音韻史 / 辞書史 / データベース / 玉篇 / 佚文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、字書『玉篇』の佚文資料を収集・分類しデータベースを構築した上で、その音韻体系の解明を目指すことである。 第3年度(2019年度)末に補助事業期間の延長申請が受理された結果、2020年度も前年の計画と同様に①「新規資料の音韻データ抽出・分析」、②「既存資料データ分析結果と新規資料データ分析結果の統合」、③「資料全体から6~11 世紀の音韻変化を反映する資料を抽出」を順次行う予定であった。但し後述するように、2020年度は新型コロナ感染症流行の影響から学内教学に関連する業務量が増大し、研究課題を推進するに十分な時間を確保できなかった。そのため、年度末に至り「補助事業期間再延長」を申請し、それが受理された。以下、2020年度の進捗状況を記す。 ①既存資料のデータベース作成:前年度において15種類の資料についてデータの統一が完了していたが、2020年度はさらに2種類についてデータの整理を行なった。②新規資料に関する分析、データ整理:2020年度においても状況に変化はなかった。③『篆隷萬象名義』音韻データの整備:2019年度に整備をおこなった『篆隷萬象名義』の音韻データについて、いくつかの誤りがあったため訂正を行った。さらにweb公開用データとの紐付けを進めた。④データベースのweb公開テスト:完成済みのデータをweb上で公開するべく試験用webページを作成した。データの検索などを行えるような設計としているが、実際にwebページとして構築してみると、作成済みデータについてフォーマットの訂正やデータの追加の必要性が生じた。2020年度については、その修正、追加作業の途中で年度末となってしまった。但し、試験用とはいえ公開用のwebページが用意できたことは、大きな進捗であったと考える。 今後は、公開可能なデータの整備を進め、本格的にwebページの構築を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度の研究が遅れた主たる原因は、新型コロナ感染症流行の影響である。2019年度より所属先が変更したことで研究環境が大きく変化し、特に教学関連の業務の増大から、課題研究に充てることのできる時間は従来より減少していた。そのような状況が継続する中、2020年度は感染症流行の影響で年度初頭からオンライン授業への対応を急遽求められる等、研究時間がさらに減少した。年度後半に至っても、対面授業の一部再開やハイブリッド授業への対応など、状況が目まぐるしく変化した。さらには授業学年暦の変更の影響から、特に夏期休暇が当初予定より短縮され、研究遂行に必要な時間を捻出するのが困難となった。 2021年2月以降、授業期間が終了したことに伴い研究時間が持てるようになり、本格的に課題研究を再開した。2020年度の主たる研究実績はほとんどのこの期間に行われたものである。この間、上述したように試験用webページを作成することが出来たが、全般的な計画は遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
既存資料のデータベース整備を継続し、音韻データの付与も含め可能な限り早期の完成を図る。また、『篆隷萬象名義』の音韻データと既存資料データとの関連付け作業を進める。さらに、現在構築中のデータ検索webページについては、早期の正式公開を目指す。但し、前述したように、現時点で作成済みのデータベースについても、実際の公開用としてはデータの訂正や追加が必要であることが判明したため、まずはこれらの修正を急ぐこととする。いずれにしても、データベースの公開は本課題の主目的の一つであるため、優先的に対応したいと考える。このほか、当研究課題によって得られた知見を論文の形で公表する予定である。
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Causes of Carryover |
【理由】現在進捗状況が遅れており、それに伴って次年度使用額が発生した。その理由は既に「研究実績の概要」および「現在までの進捗状況」欄に記したとおりであるが、主として次の理由が挙げられる。 ①2020年度は新型コロナ感染症流行の影響から、学内教学に関連する業務量が増大した。その結果、研究課題を推進するに十分な時間を取れず、進捗が大幅に遅れた。 ②データベースのweb上での試験公開を進めた結果、入力済みのデータに対する修正、追加作業が必要であることが判明した。その結果、次年度も作業の継続が必要となった。 【使用計画】次年度は、①従前の作業を継続してデータの更なる整備、充実を図り、且つ分析の精度を上げるため、関連資料の入手、購入を行う予定である。また、②データベースの本格的なweb公開に向けて必要となる資料、物品を購入する予定である。
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