2019 Fiscal Year Research-status Report
Application of Narrative Approach to the Medical Field
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17K02731
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高永 茂 広島大学, 文学研究科, 教授 (10216674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 則宏 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (30325196)
吉田 登志子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10304320)
脇 忠幸 福山大学, 人間文化学部, 准教授 (50709805)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナラティブ / 質的研究 / 地域医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年~令和元年度には計画通りに現地調査を進めることができた。島根県邑智郡の病院、岡山県新見市の診療所、鹿児島県霧島市の歯科医院に勤務する医師と歯科医師にインタビューを実施した。 当初の研究計画に沿って収集したインタビュー資料を、次の点を重視しながら分析を進めた。①インタビューで得られたデータを細切れの情報の集合としてではなく一連のナラティブ(経験の語り)と位置づける、②医療者を地域で生活するひとりの人間として捉え「生活者としての医療者」の姿を描き出す、③生活者の生の声をもとに地域医療の現状と課題・問題点を抽出する、④地域における医療の課題の取り組みについて(地域と医学教育、行政と医療、地域医療とキャリア)、⑤コミュニケーションの変化と効果について。 その結果を整理すると次の三点になる。(1)適切なフィードバックをタイミングよく返しながら相互のやり取りの循環を形成することがコミュニケーションの基本であること、(2)行政側のスタッフと医療機関のスタッフとの日常的なコミュニケーションが地域医療を活性化させること、とくに行政の長が地域医療に積極的に取り組むことが重要であること、(3)学会などの場でキャリアイコール専門医と考えられている傾向があって「地域に行っているとキャリアが遅れる」という意識を若手の医療者が持っていること、が分かった。 現在までに得られた結論は次のようにまとめられる。(1)コミュニケーションを通じた関係性の構築(再構築)によって地域医療の状況が変化する、(2)医療者がひとりで背負い込まずに、行政、看護師、保健師さらには住民を巻き込みながら、医療と福祉を中心にした地域作りを展開していくと「地域包括ケアシステム」が機能するようになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度の途中まではほぼ計画通りに研究を進めることができた。しかしながら1月~3月に実施する予定であった補充調査と研究の総括が、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の施策などがあり、中断したままである。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー方法を見直すなどして残りの調査を実施していきたい。これまでにインタビューで得られた資料の分析をさらに詳細に行なっていく予定である。
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Causes of Carryover |
西日本豪雨の影響で研究計画が遅延した上に、新型コロナウイルス感染症の予防するための施策が影響して、予定していた現地調査の一部が実施できなかったから。 現地調査が可能になり次第、残りの調査を完了させ、研究成果を発表する予定である。
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Research Products
(11 results)