2017 Fiscal Year Research-status Report
A Contrastive Study of Copular Sentences in Japanese and Korean
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17K02734
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
金 智賢 宮崎大学, 語学教育センター, 准教授 (40612388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小熊 猛 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (60311015)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コピュラ / 名詞文 / 日韓対照 / 語用論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、現代日本語と韓国語のコピュラ文の特徴を、形態・意味・語用論的な対照分析によって解明しようとするものである。「N1はN2だ」「N1だ」「N1はN2がN3だ」型の文など定型化した文に加え、「です」「の」等コピュラ関連形式、コピュラのない名詞止文等を取り上げ、対照的に分析することで、日韓のコピュラとコピュラ文の特徴を包括的に把握することを目指す。 平成29年度は、(1)「On Korean copula -ida: A Comparative study with Japanese -da」(The 20th Meeting of the International Circle of Korean Linguistics(ICKL20), 27-29 June 2017, the University of Helsinki, Helsinki, Finland)、(2)「二項名詞文における「ida」の意味機能について―日本語の「だ」との対照分析から―」(第68回朝鮮学会大会、2017/10/7-8、早稲田大学)、(3)「一項名詞文から見る「ida」と「だ」の意味機能」(第256回朝鮮語研究会大会、2017/12/16、東京外国語大学)というテーマで研究発表を行った。 (1)は、日本語と韓国語のコピュラ文全般における相違点を概観したもので、(2)では、一部の「N1はN2だ」型の文を取り上げ、名詞間の意味関係が通常とは異なる名詞文(ウナギ文)において、日韓で違いがあることを示した。(3)は、日韓のコピュラ形式そのものの意味に大きな違いがあることを示したものである。これらの分析は、日韓のコピュラとその周辺を総合的に把握しようとする本研究の土台となる基礎的で重要な観察である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の全体像がまとまってくるとともに、分析対象が前後するなど、当初の計画よりやや方向修正をしているが、おおむね順調に進展していると考えられる。コピュラは同一言語内でも非常に広範囲で多様な言語現象とかかわっているテーマであるが、その多様な現象の中でも特に目立つ用法の整理、最も基本的な文型において見られる言語間の違いをまとめることは、それぞれの言語の特徴を探る上で重要な手掛かりとなる。初年度の平成29年度は、そのような作業を行い、今後の研究の方向性を定めることができたという意味で、計画通りの成果と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、コピュラ文を、助詞「は」及び対応形式「neun」に基づく文構造の側とコピュラ形式の意味用法の側から同時に接近し、その両方における日韓の違いがコピュラ文にどのように写像されるかを描くといった、伝統的な意味記述とは差別化したアプローチをとる。そうすることで、日韓両語の特徴のみならず通言語的な範疇としてのコピュラについても示唆を与えることを目指す。 具体的には、コピュラ有と無の文(「N1はN2だ」型と「N1はN2」型)の比較分析に、日韓対照というフィルターをかけるといった複合的な分析を行う。この分析からは、「AはB」(「A neun B」)という構造と、コピュラ「だ」(「ida」)が、言語レベルや言語形式の意味を異にしながら、それぞれの言語内でそれぞれのコピュラ文を形成していることが示されると考えられる。これは、本研究の中核をなすアイディアである。さらに、日本語の助詞「は」は「の」と非常に緊密な関係にあることから、「の」に関する対照分析からも上記の結果が得られることを明らかにする。なお、この結果の論証という形で、「VNだ」型文、コピュラを含む接続形式、分裂文や終助詞・接続詞化した「だ」なども段階的に取り上げる。
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