2020 Fiscal Year Research-status Report
A Contrastive Study of Copular Sentences in Japanese and Korean
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17K02734
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
金 智賢 宮崎大学, 多言語多文化教育研究センター, 准教授 (40612388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小熊 猛 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (60311015)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コピュラ / 名詞文 / 日韓対照 / 語用論 / 意味論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、現代日本語と韓国語のコピュラ文の特徴を、形態・意味・語用論的な対照分析によって解明しようとするものである。「N1はN2だ」「N1だ」「N1はN2がN3だ」型の文など定型化した文に加え、「です」「の」等コピュラ関連形式、名詞止め文等を取り上げ、対照的に分析することで、日韓のコピュラとコピュラ文の特徴を包括的に把握することを目指している。 2020年度は、研究期間の延長年度に当たる。本研究は3年間ほぼ計画通りに進み、最終年度の個別研究をまとめた後に全研究期間の成果をまとめた書籍を出版する予定だったが、本の編集や校正などにかかる時間を考慮し1年の延長を申請している。研究成果をまとめた書籍は、ひつじ研究叢書(言語編)第183巻『日韓コピュラとコピュラ文の対照研究(仮題)』として出版される予定であり、現在校正が進められている。本の構成は以下の通りで、研究期間中に行われた個々のテーマがそれそれの章になっている。 第1章 韓国語コピュラ文の意味論:西山(2003)による基本型コピュラ文の日韓対照、第2章 一項名詞文から見る「だ」と「ita」の意味機能、第3章 ウナギ文の日韓対照、第4章 動作性名詞述語文とコピュラ、第5章 日韓の拡張型コピュラ文、第6章 分裂文から見る日韓コピュラの特徴:述語前置型分裂文の分析を兼ねて、第7章 「AはBだ」から「BのA」へ:いわゆる属格助詞の日韓対照を兼ねて、第8章 結論。 本研究は、日韓対照分析を通してコピュラ文の本質を把握しようとする初めての試みで、両言語のコーパスなど自然言語データを使って、基本的なコピュラ文のみならず、コピュラ文の拡張的な用法やウナギ文や分裂文など周辺的現象を分析的かつ統括的に扱っており、その言語学的意義は大きいと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年度は、過去3年間の研究成果をまとめ書籍化することができた。本の第4章に当たる「動作性名詞述語文とコピュラ」の学会発表(2020、日本言語学会第161回大会)ができ、第7章に当たる「「AはBだ」から「BのA」へ―いわゆる属格助詞の日韓対照を兼ねて―」は学会誌論文として公刊された(『朝鮮学報』255)。以上の成果は出版作業と同時に進められたため、本の編集や校正にやや時間がかかり、出版そのものは次年度になった。にもかかわらず、概ね個々の研究は計画通りに進められ、コピュラとコピュラ文に関する日韓の目立った特徴を過不足なく一通りまとめることができたと考えている。以上の理由から、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果のまとめはおおむね順調に進んでいるものの、2020年度は、新型コロナウイルスの蔓延で出版の最終的な段階がなかなか進まない状況が続き、3月までの出版がやや厳しかったため、研究期間の再延長を受けている。現在書籍は再校が完成している状態で、今後は再校の確認・修正を行い、6月頃の出版に向けた最終点検に努める。
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Causes of Carryover |
研究成果のまとめである書籍の出版に時間がかかっていることから、研究期間を1年延長している。次年度使用額は出版費用として計上していた金額が延長年度まで繰り越されることによって生じている。
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