2019 Fiscal Year Annual Research Report
Recovery, Publication, and Analysis of Japanese Aynu and South-Andean Aymara Oral Texts
Project/Area Number |
17K02741
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤田 護 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 講師 (50726346)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 口承文学 / パースペクティビズム / オーラルヒストリー / 証拠性 / 言語人類学 / 文化人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度においては、アンデス地域での調査については、引き続き夏季休暇期間中に現地に滞在し、ボリビア・ラパス県のアイマラ語話者地域およびペルー・クスコ県のケチュア語話者地域での調査研究を実施した。それぞれの調査において、口承史及び口承文学の分野で追加的な調査データを入手するとともに、特にクスコ県の調査地においては、小学校の先住民言語とスペイン語の二言語教育を実施する教員のグループと連携関係を樹立し、調査者の調査データの現地への還元を進めていくことで合意した。これらのデータを基にした研究については、10月にスペイン・マドリード自治大学において実施されたスペイン語の接触言語学の国際学会(Congreso Internacional I ALFALito “Dinamicas linguisticas de las situaciones de contacto”)において、分析結果を発表するとともに、より広範な研究コミュニティの中での情報交換を行った。本来は、2020年3月にも現地調査を実施する予定であったが、コロナウィルスの関係でキャンセルを余儀なくされたが、それでも十分な成果を得られたと考えている。 また、アイヌ語については、2020年2月に現地訪問を実施し、幼少時のアイヌ語の記憶を依然として保持する語り手から、アイヌ語の物語の聞き取りを行うとともに、アイヌ語復興運動の現場に参加し、新たな知見を得ることができた。 理論的な観点においても、口承文学と書かれた文学の関係に着目した学会発表を日本とボリビアで二度行うとともに、人間と動物の関係について対照的な特徴をもつ、アイマラ語の口承文学とアイヌ語の口承文学の比較の可能性について、いったん11月30日に鶴見大学で招待講演を行い、現在引き続き投稿論文の執筆に取り組んでおり、2020年度中には発表できる見込みである。
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