2018 Fiscal Year Research-status Report
石垣島での言語実践の言語人類学的分析:生活環境、儀礼・慣習、歴史的視座からの考察
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17K02747
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
武黒 麻紀子 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80434223)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 相互行為 / 言語人類学 / 民族詩学 / 石垣島 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は特別研究期間を取得し、4月から7月までは論文執筆に専念した。bondingの観点から言語・インターアクションを論じる本の一執筆者として、本科研課題で行ってきた研究内容をまとめた。具体的には、うまくいっているように見えるインターアクションの中でも、繋がりの欠落がある可能性がメタ的なコメントを通じて浮き彫りになった例を集め、「繋がっているようで繋がっていない」をキーワードに、bonding/un-bondingが表裏一体であること、目に見える形で表れるインターアクションの部分(特に繰り返し)だけで繋がりを論じることが妥当ではない可能性もあるため、詳細なエスノグラフィーが必要となることを述べた。当該論文は他の執筆者たちの論文と合わせて年度末に出版社に回り、現在査読中である。 6月には、ニュージーランドのオークランド大学での第22回社会言語学シンポジウムに参加し、石垣島のある地区の豊年祭で歌われる地域独自の歌の歌詞にまつわる神話や重要視されている事項について、民族詩学の観点から分析した。その結果、調べ切れていないことや分析に曖昧な点が多かったという反省を得た。そこで、1か月後の7月に行われた豊年祭の行事に再び参加し、儀礼場面の録画、儀礼にかかわる方々へのインタビューに加えて、図書館での資料収集を行った。 8月からはハーバード大学ライシャワー研究所の訪問研究員として研究活動を行った。9月から12月まではボストン大学Nancy Smith-Hefner教授の言語人類学セミナー、1月からはハーバード大学の言語人類学セミナーを聴講させていただき、基礎から最新の動向までを院生たちと議論する時間を持った。これと並行し、豊年祭にかかわる大量なデータ分析に専念し、標準語で主流とされてきたのとは多少異なるポエティックスの「型」も見られる可能性を、ジェスチャーや韻律の分析から見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでは大量に貯まっていく一方だったデータであったけれども、今回、分析に時間を割くことができたことで、この先関連する研究での方向性が明確になる結果を得たため。
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Strategy for Future Research Activity |
民族詩学に関して、発表を重ねて、同じテーマで研究を行う研究者たちにもデータをみてもらい、分析の精緻化につとめ、論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
国外にいて、消耗品などの購入が減ったため。
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