2018 Fiscal Year Research-status Report
韓国における言語権問題の展望:歴史的経緯と法政策を踏まえた学際研究
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17K02751
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
樋口 謙一郎 椙山女学園大学, 文化情報学部, 教授 (40386561)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 言語権 / 言語政策 / 韓国 |
Outline of Annual Research Achievements |
・本年度は、主に、韓国の法的・社会的諸制度(言語政策、教育制度を含む)と言語権との関連を検討した。その際、制度の構造理解にとどまらず、それらの制度が形成された歴史的経緯にも着目し、韓国の国民国家形成と言語関連の諸制度の関連性、およびその社会的受容の経緯を史料にもとづいて明らかにすることに努めた。 ・前年度に引き続き、文献研究、専門家へのヒアリングなどを行った。前年度の研究の過程において、歴史的経緯に対するより広範な調査および考察、ならびに海外居住コリアンや韓国におけるダイバーシティに対する認識の多様化に関する調査を含めることの重要性を認識するに至ったため、それらにかかわる資料の収集にも努めた。さらに、韓国の長編小説の分析、オラリティをめぐる議論も研究に組み込んだ。 ・米国立公文書館(NARA)における南朝鮮米軍政期史料の調査を実施した。それらの史料の再点検を行い、当時成立した言語政策に盛り込まれなかった言語観、社会相、言語的少数者の主張を具体的に明らかにするよう努めており、この作業は継続中である。 ・この段階で得られた知見を整理し、本研究の中間成果や展望について関連学会・国際会議などで報告した。また、新聞寄稿などを通じて、広く一般向けの発信を行うよう心がけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
韓国における調査は当初の構想よりも若干遅れているが、研究発表は予定よりも進んだと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年の報告書でも述べた通り、初年度の研究のなかで、歴史的経緯に対するより広範な調査および考察、ならびに海外居住コリアンや韓国におけるダイバーシティに対する認識の多様化に関する調査を含めることの重要性を認識するに至った。この点について、研究計画・手法を、引き続き発展的に見直していく。本年度、韓国の長編小説の分析、オラリティに関する議論も研究に組み込んだため、今後、その作業も深化させていく。
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Causes of Carryover |
支出削減に努め、予算の有効活用に努めたため。研究の発展・応用に活用していく。
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