2018 Fiscal Year Research-status Report
Toward the understanding of the functional significance of language-sensitive P600 effect
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17K02755
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
大石 衡聴 立命館大学, 総合心理学部, 准教授 (40469896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安永 大地 金沢大学, 歴史言語文化学系, 准教授 (00707979)
荒生 弘史 大正大学, 心理社会学部, 准教授 (10334640)
矢野 雅貴 九州大学, 人文科学研究院, 助教 (80794031)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | P600 / 文処理 / 事象関連電位 / ERP / 統語的逸脱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研費プロジェクトでは、言語の処理に敏感な事象関連電位成分である P600 の機能的意義を明らかにすることを目的とし、多角的な検証を実施している。2018年度では、P600 の安定的な検出に必要なサンプルサイズを特定するための研究を実施して論文を執筆し、International Journal of Psychophysiology に採録された (Yano, Suwazono, Arao, Yasunaga, & Oishi, 2019)。当該論文では、オッドボール課題で観察される P300 が 5-7名分のデータを加算平均することで安定的に検出されるのに対し、P600 の安定的な検出には 20-30 名分のデータが必要であることを明らかにした。 また、実験文を視覚呈示した場合と聴覚呈示した場合とで P600 の現れ方に違いが生じるかどうかを検証するための実験を実施し、呈示モダリティの違い(すなわち視覚呈示 vs. 聴覚呈示)だけでは P600 の振る舞いに違いは生じないが、それに加えて実験文で用いる名詞句のある特性の操作によって違いが生じることを明らかにした。具体的には、実験文中に登場する人物を人名で表した場合と普通名詞で表した場合とで呈示モダリティの違いによる影響が生じることを明らかにした(荒生, 2019, 第4回坂本勉記念神経科学研究会)。これらの研究成果は P600 が文処理のある側面(例えば統語的情報の処理)のみを反映している訳ではなく、文処理装置が様々な外的要因の影響を受けつつ処理を実行している、言い換えるならば、外的要因に柔軟に対応して処理の内容を変更している事を示唆していると言えよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度、大阪では大阪北部地震や非常に強い台風の上陸などが相次ぎ、その復旧作業などで時間を割かれてしまい、予定していた研究スケジュール通りに進める事が出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度を迎え、研究代表者および分担者の所属する各研究機関で基礎データを取り終え、結果を総括して P600 の機能的意義を明らかにし、「P600実験キット」の作成に向けて実験文の作成や必要に応じて追加実験の実施を進めて行く予定である。
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Research Products
(4 results)