2022 Fiscal Year Annual Research Report
Basic Research on the Vocabulary and Style of Qing Dynasty Depositions
Project/Area Number |
17K02757
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
奥村 佳代子 関西大学, 外国語学部, 教授 (10368194)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 档案資料の言葉 / 供述書の言葉 / 言文一致 / 口語体 / キリスト教案 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、第一に、昨年度に入力したキリスト教案資料『欧州所蔵雍正乾隆期天主教文献彙編』のテキストデータの確認作業を行った。本研究は、供述の文体の特徴を明らかにすることを目的としており、そのためには語彙の使用状況を整理しておく必要があるが、テキストデータを用いる場合にはデータの正確さが基礎となるため、確認作業は必要不可欠な作業である。最終年度内に確認作業を終えることができたため、正確な語彙検索が可能となり、その他の口述資料や会話資料との語彙の比較をする際に有用なデータを作成することができた。また、このテキストデータをもとに語彙索引作成の準備に着手した。中国語は語の分かち書きを行わない言語であるため、語彙索引を作成するには語彙レベルに区切る工程が生じる。近代以前の中国語に関しては手作業で区切る方法がより信頼できるため、資料を精読しながら語彙を抽出する必要がある。この作業は最終年度に終了することはできなかったが、継続予定である。 第二に、オリジナル資料の確認を行った。研究対象の一つであった教案資料のオリジナルを所蔵するバチカン図書館と、その関連写本を所蔵するカサナテンセ図書館(ローマ)での資料調査が可能となったため、原本を確認することができた。本研究が依拠した教案資料は活字化されたものであり、本来の字体ではなく現代中国語を表記する際に用いられる簡体字でに書き直されたものであるため、字体と内容を確認する必要があった。また、バチカン図書館とカサナテンセ図書館双方の資料を確認したことにより、中国からの情報がどのような形で、どのようにヨーロッパにもたらされたのかをより具体的に知ることができた。 研究期間全体を通し、各写本資料の内容面の違いと人物による語彙の特徴について調査した。歴史研究の対象とされることが主であった教案資料の言語資料として研究の可能性があることを提示することができた。
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