2018 Fiscal Year Research-status Report
A study of discouse behaviors invoking phase transitions in discussion
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17K02766
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
水上 悦雄 国立研究開発法人情報通信研究機構, 先進的音声翻訳研究開発推進センター先進的音声技術研究室, 主任研究員 (30327316)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 話し合いの相 / 話し合いの相転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
H30年度は、H29年度の研究発表時にフロアからいただいたコメントや分析過程での気づきに基づき、以下の点を見直して再分析を行った。まず、「相」の概念が「話段」や「トピック」のような談話のまとまり概念との差がわかりにくいという指摘に対し、対話構造の手続き的な分析概念である「談話セグメント」と比較することによってそれを明確化することを試みた。談話セグメントでは同じ談話目的を持つセグメントは並列に捉えられ、上位の談話目的の構成素となる。これに対し相は、同じ談話目的を持つ並列セグメントであっても、話し合いの相互行為によって異なる様相を呈すれば、異なる相として位置づけられる。かつ、談話セグメントの境界と相の境界は必ずしも一致するとは限らない。これらの点を明確化するため、多国籍の学生による話し合い場面を分析し、その結果を言語・音声理解と対話処理研究会第83回研究会において発表した。増長相と名付けた相が、なぜそのように感得されるのかを、発話音声のパワーを分析し、声の大きさの変化が一要因となっていること、それは相対的であることを示唆する結果を得た。その他、発話のオーバーラップ、言葉の選択など、いくつかの相の変化に関係する因子について抽出した。 また、対象とする話し合いの構成メンバーや話し合いの内容に応じて、現れる相の種類、傾向が限定的となる可能性を考慮し、新たな対象データとして、社会人の話し合い場面の収録を株式会社フューチャーセッションズの協力を得て実施した。その結果、音声や映像の利用許諾をいただいた6名の対象者を中心に、学生同士の話し合いとは異なる、質の高い話し合いのデータを収録することができた。このデータについては話し合いの相の観点からの分析は不十分であるものの、収録対象者の変化を分析し、LORC公開研究会および間合い研第13回分科会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H29年度の研究推進結果に基づいて、H30年度は、(エ)行為特徴量の検討、(オ)行為特徴量の抽出、(カ)相関分析、必要に応じて、対象データを拡張し、あわせて、「相」の定義を明確にするとともに、可能な限り頑健なアノテーションの仕様をとりまとめ、相境界と特徴量の関係性を分析するに必要なデータを作成し、相関分析を行う予定であった。これに対して、(エ)と(オ)および、対象データの拡張と、「相」の定義の明確化については予定通り計画を推進することができたが、その一方で、そこまでにとどまり、データに対するアノテーション仕様の作成とアノテーション、それを用いた相関分析をするまでに至っていない。これができなければ、その次のステップに進むことができず、これをH31(R1)年度に持ち越すこととなるため、やや遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、H30年度の研究実施状況を踏まえて、H30年度に達成できなかった、相および、相の生成に関わる行為特徴量のアノテーション仕様を明確化し、(カ)相関分析を行い、当初計画にあった(キ)支援ツールの開発、少なくとも設計のための項目の洗い出しまでを行いたいと考えている。万が一、予定通りに進まなかった場合は、研究期間の延長も考慮に入れ、随時研究計画を見直していく予定である。
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Causes of Carryover |
計画的に執行したが、端数として残ったため、H31(R1)年度で調整する。H31(R1)年度は、H30年度に実施できなかったラベリング作業外注費(約30万円)と、研究調査/発表旅費(国内3件、国外1件)にて執行予定である。
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Research Products
(3 results)