2022 Fiscal Year Annual Research Report
Phonological and phonetic explanations for articulatory gestures of Japanese long vowel
Project/Area Number |
17K02769
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
白勢 彩子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00391988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 達也 甲南大学, 知能情報学部, 教授 (60293594)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本語音声 / モーラリズム / 調音運動の計測 / 磁気センサシステム / 口唇運動の観察 / 日本語母語話者 / 児童 / 遠隔によるデータ収集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,日本語長母音の発声に焦点を当て,モーラリズムの日本語話者およびそれとは異なる言語リズム体系の話者を対象に発話生成実験を行なって,磁気式リアルタイム三次元運動計測システムを用いて調音運動を直接的に観察して対照言語学的に発声の調音動態を明らかとし,音声言語生成の,音韻論ならびに音声学的な機構と過程を明らかとすることを目的として研究を推進した。検討にあたっては,言語リズムの特性の異なる2言語,すなわちモーラリズムの日本語と,いわゆる「シラブルリズム」言語のひとつであるフランス語の話者に対して同様の実験を行ない,結果を言語間での比較を検討した。さらに,発達過程を明らかとして比較するため,日本語話者5から9歳の児童に対しても類似の発話生成実験を実施し,検討を行なった。母音の長・短の調音運動を率直に捉えて,言語による相違と発達期を比較検討し,理論的な枠組みに基づいて,発声の音声学・音韻論的な機構と過程を考察した。 本年度は最終年度であることから,従来得られた成果に基づき,主に研究の総括を進め,投稿論文を執筆した。研究内容は多岐に亘り,検討の観点も複数あることから,成人のデータに焦点を当て,これまで示されることが少なかった,言語リズムの生成の過程に焦点を当てた議論を行った。 加えて,本年度は,データ収集が不足していた児童の発話生成実験を進めた。 研究期間を通じ,新型コロナウィルスの影響が大きく,研究が進展しにくかった。本研究では口腔内や付近にセンサを貼付する必要があり,また,口唇の運動の撮影が必要であることからマスクを非着用で実験を進めることが必須であったために,データ収集が大幅に遅れた。さらに,システムの開発サポートが終了したことから継続してデータを収集することが極めて困難な状況に陥った。
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