2017 Fiscal Year Research-status Report
東アジア言語の相互類似性と差異性に見られる日本語破裂音の知覚と生成のメカニズム
Project/Area Number |
17K02773
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
福岡 昌子 三重大学, 地域人材教育開発機構, 教授 (70346005)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 音声 / 第2言語習得 / 破裂音 / 北京方言 / 上海方言 / ソウル方言 / EGG |
Outline of Annual Research Achievements |
中古漢語の全濁声母が残存する上海方言とソウル方言の有声音が前後する破裂音は、3項(有気・有声・無声)対立という点で日本語の破裂音に近似しており日本語習得にプラスに働くと思われるが、知覚と生成となると異なる誤用の実態が見られる。本研究では、VOT(Voice Onset Time)による範疇知覚、ファイバースコープを利用した日本語と母語の破裂音、破裂音を含む高低アクセント発声時の声帯振動の調査を行い、「東アジア言語の破裂音の相互類似性と差異性」を調べ、日本語破裂音の習得における知覚と生成のメカニズムの違いを明らかにする。 初年度は、 ①範疇知覚を調べるための合成音声による刺激音声の妥当性の検討、調査、分析、整理。 ②韓国語・北京語・上海語話者の破裂音の範疇知覚研究の論文化。③ファイバースコープ研究のための調査項目のリストアップ、 被験者依頼を目標とした。次年度予定のファイバースコープ研究であるが、研究協力者と検討した結果、ファイバースコープでは、本研究の分析が難しいことが判明し、EGG(Elegtroglottography)という装置で、調査分析した方がよいことが、別の研究協力者の助言でわかった。そのため、ファイバースコープでの実験を取りやめ、EGGで研究を行うことにした。 EGGによる研究のため、調査機関を探したところ某大学の研究者の研究協力を得ることができた。次に、被験者として、北京(中国北方)方言話者5名、上海方言話者5名、ソウル方言話者5名、北京方言とソウル方言のバイリンガル話者3名、日本語母語話者5名に調査を実施した。調査項目は、母語と日本語の破裂音の無意味語である。実験協力者の大学で調査し、EGGデータを収集した。バイリンガル話者は被験者が2名不足したため、次年度すぐにデータを収集することとした。現在、データを音響分析機器で分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度予定のファイバースコープ研究であるが、研究協力者と検討した結果、ファイバースコープでは、本研究の分析が難しいことが判明し、EGG(Elegtroglottography)という装置で、調査分析した方がよいことが、別の研究協力者の助言でわかった。そのため、ファイバースコープでの実験を取りやめ、EGGで研究を行うことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
北京方言とソウル方言のバイリンガル話者2名が、前年度被験者を捜せなかったため、今年度当初に調査を実施する。合計25名のデータを音響分析ソフトで分析していく。分析出来次第、統計解析を実施し、結果をまとめ発表する。
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Causes of Carryover |
理由:データ取得のための実験に時間を要し、当初の予定よりデータ分析のための謝金が少なくて済んだため。
使用計画:平成29年度に実施できなかったデータの分析のための謝金に使用する。
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Research Products
(3 results)