2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K02775
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
堤 良一 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (80325068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 友子 東洋大学, 文学部, 教授 (10379216)
藤本 真理子 尾道市立大学, 芸術文化学部, 講師 (10736276)
長谷川 哲子 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (20368153)
松丸 真大 滋賀大学, 教育学部, 教授 (30379218)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 指示詞 / 方言 / 現場指示用法 / 統計 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現代日本語の指示詞の現場指示の方言差を明らかにするとともに、各方言が採用する空間認知の分割方法と、それと連関するような文法現象を見極めることで、日本語の指示詞の現場指示の使用のされ方と、その他の言語現象との関わりを探ろうとするものである。 今年度は、次年度以降に実施予定である本格的な実験に向けて、実験のデザインを行った。そして、そのデザインの妥当性を検討するために徳山大学(山口)、尾道市立大学(広島)、愛媛大学(愛媛)の3大学で実験を行った。収集したデータは方言帯ごとにグルーピングし、それぞれの差を見ることとなる。具体的な傾向としては、研究代表者と研究分担者(岡﨑友子氏)が、岡山方言について言及したことがあるように、話し手と聞き手との間程度の距離の対象についてアノで指示する話者が一定数存在し、それは瀬戸内海沿岸の地域の出身者に多いような傾向が見て取れる。しかしこれは今後継続的な実験を続け、データの数をある程度取らなければ断定的なことは言えないというような状況である。 実際に実験を行いながら、実験の妥当性、公平性他、様々な点で問題点が見つかったが、その都度微調整を行いながらデータ収集を行った。現段階では、次年度に向けて均等な環境での実験が遂行できる準備が整いつつあると考えている。 収集したデータについて、統計的な処理を施すことができるかどうかについて、平成30年3月24日(土)、東洋大学岡﨑友子(共同研究者)研究室にて、検討会を行った。統計学の専門家である小林雄一郎氏から有益なコメントをもらい、データベースの作り方等を今後さらにつめていく必要があることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書の申請段階で、本年度に調査を行う予定であった地点は次のとおりである。<データ採取予定大学>中国地方:岡山大学(担当:堤良一)、尾道市立大学(担当:藤本真理子)、徳山大学。四国地方:愛媛大学。関西地方:滋賀大学(担当:松丸真大)、関西学院大学(担当:長谷川哲子)。関東地方:東洋大学(担当:岡﨑友子)。 このうち、代表者と分担者(藤本真理子氏)担当の地点についてはパイロット的な実験を行うことができ、おおよその実験の妥当性と、結果の傾向をつかむことができている。計画当初に予定していた大学での協力態勢等に若干の変更が生じたために、今年度は滋賀大学と、新たに島根大学に赴く予定であったが、担当者(松丸真大氏)の都合もあり、叶わなかった。また、その他の大学でも実験は未実施の状況であるが、これは想定内の遅れであり、平成30年度に十分に取り戻せるもどと確信している。 揺れやノイズのない実験のデザインに時間をかけたが、次年度は複数の担当者が一斉に実験を行うことによって大量のデータを収集することが可能となる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度(次年度)は次のような計画を立てている。<実験予定地>九州地方:福岡大学、長崎大学。 東海地方:名古屋大学、南山大学。 北陸地方:金沢大学。東北地方:弘前大学。 北海道:北海道大学、北海道教育大学。 これに加えて、昨年度未実施の滋賀大学、島根大学、関西学院大学、東洋大学で実験を行う。ただし、調査候補地を全国に散らせすぎている感があり、また一回で収集できるデータの数にも時間的、金銭的に限りがあることが分かっている。そのため、いくつかの候補(たとえば北海道)を断念して、データの数が見込める地点に資金を集中させることが重要となるかもしれない。 収集したデータについて検討するために、計画書通りに3ヶ月に一回程度、検討会議を行う予定である。なお、成果の発表については随時行う予定であるが、データの数がある程度揃わなければ成果として公表することができないことが予測されるため、次年度において大きな成果発表の場を設ける予定は現段階ではない。
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Causes of Carryover |
滋賀大学の松丸真大氏において、他研究業務と学内の業務が当初予定していたよりも重なり、残額が生じた。なお、この残額については、本年度に適正に執行する予定とのことである。
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Research Products
(11 results)