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2019 Fiscal Year Research-status Report

The structual change of Japanese society and the simplification of honorific language

Research Project

Project/Area Number 17K02790
Research InstitutionJapan Women's University

Principal Investigator

田辺 和子  日本女子大学, 文学部, 教授 (60188357)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 井上 史雄  東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (40011332)
Project Period (FY) 2017-04-01 – 2021-03-31
Keywords敬語 / 丁寧語 / 簡素化 / 明晰化 / 歴史コーパス / 雇用形態 / いらっしゃる / いかれる
Outline of Annual Research Achievements

本年度の研究実績は、過去3年間におけるアンケートを中心とした「いらっしゃる」「いかれる」の使用状況の分析に加えて、数種のコーパス分析も行ったことである(使用コーパス:「青空文庫」「日本語歴史コーパス」「全文検索システム『ひまわり』」。その研究の概要としては、「敬語の簡素化と明晰化」『国文目白』第59号(2020)において、示した。その内容を以下に記す。
第1部 量的分析① 2015年 関東地方学生向け調査結果:学生は、「行く」の敬語形として、「いらっしゃる」よりも「いかれる」の方を多く用いる傾向がある。② 2016年~2017年 母親対象敬語使用調査結果:現在の母親は、「いらっしゃる」より「いかれる」を多く使用し、話題敬語は、自分が子供のころ自分の母親が使っていたにもかかわらず、自らは、子供に対して使っていない傾向が強く、話題敬語の継承がなされていない。③2017年 雇用形態別敬語変異形使用実態調査について:正規・非正規・アルバイトという雇用形態によって、「いらっしゃる」「いかれる」「いく」の使いわけが、話し相手によって異なる。
第2部 質的分析 ~コーパス分析~①青空文庫 明治時代の小説では、女性が「いらっしゃる」を多用する。②日本語歴史コーパスによる検索:いらっしゃる」のすべての用例が、教科書の例文であった。③全文検索システム『ひまわり』による『国会会議録』検索:「いかれる」の使用がほとんどで、使用者は若い世代というわけではない。
結論としては、「いらっしゃる」よりも「いかれる」の使用が一般的で、その使い分け使用の要素としては、性別・年代・社会的経済的所属集団の他に、聞き手や話題の人との関係、話の場の目的によって使い分けられていることが判明した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度は、敬語の簡素化・明晰化という研究テーマの探求の中で、量的分析・質的分析という両方向からの分析手法:混合法(Mixed Methods)の実践を行った。どんなに大量のデータを扱っていても、それが量的処理しかしてないとしたら、研究対象の外側からでしか考察していないことになる。研究対象の内部を知るには、数人のサンプルでもいいから、なぜ、そのような行動をとるのか、社会的・心理的側面からの考察が必要になる。この量的・質的分析を相互補完的に行う研究アプローチが「混合法」である。この混合法を実践することによって、研究デザインという研究方法を探求する学問領域の重要性に新たに気づいた。今後は、テーマに適した研究方法の吟味・正当化から、各々の研究が行われるべきであることに新たな学問的視野の広がりがあった。
第2の昨年度研究の成果は、複数のコーパス分析を組み合わせて、多角的に「いらっしゃる」「いかれる」の使用実態を明確にしたことである。コーパスは、それぞれに作成者の意図や目的があって作成されているので、長所も欠点も持ち合わせている。日本のコーパスは、全般的に、量的規模が小さいが、一つ一つの例文と背後の情報が、吟味されて加えられている。今回の分析では、国会議事録の中で、話者の年齢が記録されていたのは、「いかれる」の使用が、決して若者だけが使用してたわけではないことの証明に重要な意味があった。このように、様々なコーパスの記述をつぶさに考察したことは、コーパス理解を深めたとともに、研究課題の分析も進展させた。

Strategy for Future Research Activity

研究の最終年を迎え、より長期的視野に立った「社会構造の変化と敬語の簡素化と明晰化」を推測する方法を探求したい。具体的には、アンケートによって、①敬語の特殊形(おっしゃる・召し上がる・ご覧になる)の使用の実態を把握すること、仮説としては、特殊形の使用は極端に低く、若者は、認識できるが自分では使わないが圧倒的に多いだろう。②新たな丁寧語とされる「っす」に関して社会言語学的には、青年男子から女子へとどの程度使用者の拡大が図られているか、職場では、若い世代が先輩格の社員に使う方向にあるのか調査したい。また、構造論的には、「動詞連用形+ます形」から「動詞連体形+です形」への大きなうねりの中で、動詞別・文法形(テンス・アスペクト・モーダル)によってどのように「です化」が進んでいるか考察したい。大量データーとして、Yahooトレンドを利用したい。データーとしての信頼度に問題があるが、新しい動向をつかむのには、有効ではないかという問題提起をしたい。③新型コロナ感染防止自粛政策によって、テレワークが推進された結果、身分・地位の上下に配慮した敬語使用が、職場でのコミュニケーションの形態を決定する要素であった対面コミュニケーションにとって代わって、通信機器を通してのオンラインコミュニケーションに移行して、配慮すべきことが変化していることの実態をつかみたい。仮説としては、i)相槌の頻度が減り、短くなる、ii)発言の長さも短くなり簡潔に話そうと努力するようになる、iii)語彙の選択の変化がみられ、漢語よりも和語が多く用いられるという3点が考えられる。

Causes of Carryover

①年度末、新コロナウイルス感染予防対策のため、2月末から3月にかけてのアルバイト支払いが行われなかった。②消耗品の購入が予定より安価にすませることができた.
使用計画においては、本年度の調査における分析資料作成のための人件費として使用する予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2020 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 敬語の簡素化と明晰化2020

    • Author(s)
      田邊和子・小池恵子
    • Journal Title

      國文目白

      Volume: 59 Pages: 104-121

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Influence of Globalization on the Use of Honorifics in Japanese2019

    • Author(s)
      Kazuko Tanabe
    • Organizer
      16th International Pragmatics Conference
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] The contsruction of Multicultural Society in Japan: Observation on Landscape Linguisitics2019

    • Author(s)
      Kazuko Tanabe
    • Organizer
      第17回 国際都市言語学会
    • Int'l Joint Research
  • [Book] Proceedings of Methods XVI2020

    • Author(s)
      Kazuko Tanabe, David Britain, Salvatore Carlino, Hsiao-feng Cheng, Kevin Heffernan, Keiko Hirano, Rika Ito, Brian Jose, Yuji Kawaguchi SuguruKawase, Nobuko Kibe, Lex Konnelly, Mihoko Kubota, Stepehn Levey, Lozong Lhamo 他23名
    • Total Pages
      296
    • Publisher
      Peter Lang
    • ISBN
      978-3-631-80115-4

URL: 

Published: 2021-01-27  

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