2021 Fiscal Year Annual Research Report
The structual change of Japanese society and the simplification of honorific language
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17K02790
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
田辺 和子 日本女子大学, 文学部, 教授 (60188357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 史雄 東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (40011332)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 敬語形 / 簡素化 / 明晰化 / 行かれる / 来られる / おられる / 世代差 / 性差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「敬語の簡素化と明晰化」をテーマに、昨年度は、「いらっしゃる」と「いかれる」の教科書記述と使用実態について考察した。本年度は、「いらっしゃる」と「おられる」の関係を中心に分析した。従来、「行く」「来る」「いる」の3つの動詞の敬語形として「いらっしゃる」が使用されてきたが、本研究の昨年の調査によると、「行く」は「行かれる」、「来る」は「来られる」、「いる」は「おられる」というそれぞれ異なった敬語形が使われる頻度が高くなってきているという結果を得た(明晰化)。本年度は、これを受け、「名詞+でいらっしゃる] 対「名詞+でおられる」の使用実態の考察を試みた。調査方法は、20代と50代の男女各100名(総数400名)に対してアンケートを行った。質問の一部を紹介すると、例1:「この方は、田中大臣のご子息でいらしゃいます(おられます)。」A(①よく聞く ②時々聞く ③ほとんど聞かない ④全く聞かない)B(①よく使う ②時々使う ③ほとんど使わない ④全く使わない)というように、「いらっしゃる」の「聞く(耳にする)」と「使う」についてのデータと、「おられる」の「聞く」と「使う」についてのデータを一元配置分散分析を行った。その結果、「いらっしゃる」の「使う」においては、男性20代と男性50代に有意差が認められ、「おられる」においては「聞く」についても「使う」においても、男性20代と女性20代に有意差が認められた。この結果の意味することは次の2点で、①20代男性は、50代男性と比較して、高い確率で「いらっしゃる」を使用していることが明らかになり、男性の「いらっしゃる」使用においては、世代差が反映している、②「おられる」使用に関しては、性差が大きく反映している ということが明らかになった。
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