2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02793
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
朴 真完 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (90441203)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 朝鮮資料 / 交隣須知 / 終結語尾 / 対照研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
『交隣須知』(1804~1836)は,758語の見出し漢語を「天文・地理…」など内容別に配列した会話用例集であり、その構成は日本語・朝鮮語の対訳形式で短文を挙げる形となっている。両国語の口語を中心に収録されたため、語義のほか、豊富な用例を挙げて用法を示しているので、日本語の重要な転換期に当たる中世語から近世語までの口語変化を的確に観察できる文献となる。 『交隣須知』は元の写本が刊本として印出される過程で2回(1881年と1883年、いずれも外務省刊)改訂され、中でも東京外大本は初刊本(1881)に当たり、当時、東京外国語大学の朝鮮語教科書として活用されていた。本年度は東京外大本(1881)の校訂内容を対象として、19世紀末から20世紀初までの約50年間に起きた終結語尾の変遷を中心に調べた。 東京外大本には教授による校正が朱・墨で、学生による修正が鉛筆書きで記されており、原文に散在している印刷上の欠陥及び誤字と脱字を補完する役割を果たす一方、転換期における言語変化、例えば、古い表現を修正して当時の言語現実を反映しようとしたのである。 19世紀末の朝鮮語における一例を挙げると、例えば、"hao"体が口語体にも活発に使われ、特に命令形としては‘-si-'を付着した"hasio"型が活発に使用されていたことが分かる。さらに後の刊本である再刊本(1883)からも確認できない通時的変化とて、"hasio"型の拡散過程と,非格式体終結語尾の‘-a(yo)'、‘-ji(yo)'と‘-ne(yo)'の出現が確認できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究成果を踏まえ、「朝鮮資料」異本間の相違について細部まで比較・対照研究を行った。具体的には文法の問題を中心に、中・近世日本語と朝鮮語における口語の特徴や中世語から近世語までに起きた口語の変化について研究を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究成果を踏まえ、「朝鮮資料」における日本語の階層の問題、特に武士が使っていた口語体を究明し、また朝鮮の日本語通訳官(中層)が使っていた中・近世日本語の特徴について解明する。さらに関連研究として、近代朝鮮語における口語の特徴についても研究を行う。
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Research Products
(3 results)