2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K02803
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
島 越郎 東北大学, 文学研究科, 教授 (50302063)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コントロール / PRO / フェイズ / 非定形節 / 変項 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、非定形節の発音されない主語PROとその先行詞との関係であるコントロール現象について考察した。PROの解釈は非定形節が生起する統語位置により異なる。非定形節が動詞の目的語や副詞節として生起する場合、不定詞節を直接支配する定形節の項が義務的にPROの先行詞として解釈され、このようなPROと先行詞の関係は義務的コントロールと呼ばれる。他方、非定形節が主語として生起した場合、PROの先行詞は義務的に決まらず、PROと先行詞の関係は非義務的コントロールと呼ばれる。 Hornstein (1999, 2003) は、義務的・非義務的コントロールの違いを移動操作に基づいて説明しようと試みている。具体的には、動詞の目的語や副詞節として生起する非定形節の主語はA移動の痕跡として、また、主語に生起する非定形節の主語は空の代名詞として分析される。しかし、この移動分析の下では、許されないはずのコントロール関係も誤って許してしまうという問題が生じる。 本研究では、移動分析の代案として、Chomsky (2000, 2001)で仮定されているフェイズ理論に基づく、非定形節の発音されない主語の解釈を決める新たな解釈条件を提案した。この分析によると、PROは値が決まっていない変項として派生に導入され、その値は派生のできるだけ早い段階で統語構造の構築に課せられるフェイズ不可侵条件に基づいて決まるが、派生の段階で値を決めることができないPROは文脈により値が決められる。本研究が提案する分析は、義務的コントロールと非義務的コントロールの違いを説明できるだけでなく、非定形節が副詞節として生起する場合に見られる非義務的コントロール現象についても説明できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、動詞の目的語に生起する非定形節のPRO解釈を集中的に研究する予定であったが、本研究が提案するフェイズに基づくPROの解釈条件の経験的妥当性を示すためには、代替分析の1つであるコントロールの移動分析と比較検討した方が良いと判断し、軌道修正を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、非定形節が動詞の目的語として生起する場合を集中的に研究し、本研究が提案する分析の経験的妥当性を更に検証する予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度使用額の残金は、次年度において物品費として使用する予定
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