2020 Fiscal Year Research-status Report
日英語ならびに西欧諸語における時制とその関連領域に関する発展的研究
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17K02804
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
和田 尚明 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (40282264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 淳也 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20349210)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 時制 / アスペクト / モダリティ / 心的態度 / 間接発話行為 / 比較研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
和田は、日英独仏蘭語の時制・相・モダリティ・心的態度・発話行為の比較研究の一環として、英独語の現在形の未来時指示用法の違いの分析、日英語の時制・相・モダリティ・心的態度・発話行為に関する様々な現象の包括的分析、英語のbe going toの「依頼」用法についての分析を、包括的時制理論の枠組みを用いて行った。渡邊は、日本語ならびにロマンス諸語の時制・相・モダリティの比較研究の一環として、フランス語の半過去形の時制とアスペクト、フランス語と日本語の心的態度・発話行為に関する語用論的マーカーの比較研究、フランス語の接続法の「言語使用の三層モデル」による分析を行った。 本年度の研究会は、コロナの影響のため、第1回~第5回は、筑波大学と東京大学それぞれで小単位の対面もしくはZoom発表会となったが、その活動記録は以下のとおりである。第1回研究会(宮腰駿):「フランス語副詞personnellementの記述的研究・理論的研究」(2020年5月27日) 第2回研究会(森一平):「Saussure&Sthioul(2005)の紹介論評」(2020年6月17日) 第3回研究会(佐多明理):「言語学的アプローチを用いた解離性障害への応用―ポリフォニーの観点から」 第4回研究会(和田尚明):「ドイツ語の「未来時指示」表現と公的自己・私的自己」(2020年6月23日) 第5回研究会(志村春香):「現在完了進行形が表す「感情的効果」について」(2020年8月28日) 第6回研究会(栗原唯):「フランス語の名詞文のアスペクトに関する一考察」(渡邊淳也):「フランス語の接続法とポリフォニー」(2021年3月8日) 口頭発表については、和田がChronos14(テンス・アスペクト・モダリティ・証拠性に関する国際学会第14回大会)(2020年6月:フランス)で発表予定だったが、コロナの影響で延期となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度も、和田が発展型包括的時制モデル(自らの時制理論に言語使用の三層モデル・C-牽引を取り入れた説明モデル)を用いて「日英独仏蘭語の時制・相・法・発話行為現象」を、渡邊が「日仏語ならびにロマンス諸語の時制・相・法・発話行為現象」を分析する予定であった。コロナの影響で、例年のように、和田・渡邊がそろって研究会を開けたのは第6回研究会のみであったが、それぞれの大学(ならびにZoom)で、研究テーマが近い大学院生を交えて研究会は実施できたし、個々の研究自体はおおむね順調に進んだといえる。 具体的な研究成果としては、和田が発展型包括的時制モデルに基づいて、日英語の時制・アスペクト・モダリティ・発話行為・主観性・視点に関する現象の分析に関する論考を執筆し、英語の未来表現の発話行為現象の分析と英独語の未来時指示についての分析を行った。渡邊は、言語使用の三層モデルに基づくフランス語の接続法とポリフォニーの研究や日仏語の心的態度を表す語用論マーカーの分析を行い、認知モードやアフォーダンスによるフランス語のTAME現象の分析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題最終年度となる令和3年度は、これまで和田と渡邊が各自で行ってきた研究ならびに関連するテーマでの講演をしてくれた講師の研究からなる論文集を作成し、本課題の統合並びに総括を行う。 研究活動としては、コロナの影響もあるため流動的な面もあるが、テーマが近い大学院生も含めて、年数回の研究会をできれば対面で実施する。和田・渡邊ともに1~2回発表し、他にもTAME研究会のメンバーや研究テーマが関連する大学院生にも発表してもらう。また、海外や国内の審査付き学会発表やジャーナルにも応募し、研究成果を内外に発表していく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で海外での研究発表用の旅費が使えなかったため。2021年度は、今冬に延期となったChronos14(テンス・アスペクト・モダリティ・証拠性に関する国際学会第14回大会)(フランス)に出席するための旅費として使う予定である。
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