2018 Fiscal Year Research-status Report
「国際語としての英語」発音目標設定のために:使用目的と聞き手を考慮した実証的研究
Project/Area Number |
17K02805
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
内田 洋子 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (50313383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 直之 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (30272727)
杉本 淳子 聖心女子大学, 文学部, 准教授 (70407617)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 英語音声学 / 教職音声学 / intelligibility / accentedness / comprehensibility / acceptability / 海事英語 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 英語発音教育において、学習者が目指すべき達成目標を「コミュニケーションに支障を及ぼさないレベルの発音」に据える一方、英語教員はそれよりも「一歩上」の発音を目指すべきとされる。それぞれがどのような発音であるべきか、習得すべき音声項目をリスト化する作業を試みた。 (2) 音声学を普及することを目的に開催されたシンポジウムにて、教職音声学(教員免許状取得希望の大学生が履修する音声学授業)はどのような内容で行われるべきかについて、これまでの調査で明らかになった内容を踏まえて、発表を行った。英語教員志望者は生徒のモデルになるために英語母語話者と同じような英語発音を目指している傾向があるが、そのような発音の習得は現実的ではない上、目標を達成できないことで自信を失う傾向もあるので、「わかりやすい発音」を目指す指導の推進が必要であること、限られた授業時間を使ってわかりやすい発音を習得するためには優先順位をつける必要性があること、また、わかりやすい発音がどのようなものであるかを体感・理解させるために、様々な背景を持つ英語話者と英語を用いてコミュニケーションを行う経験をさせる必要性を指摘した。 (3) 英語教員志望者が目指すべき発音モデルの設定と関連して、英語教員を目指す学生が発音した音声データを3つのグループ(英語母語話者・日本語母語話者・中国語母語話者)に聞かせてaccentedness(訛りの度合い)と 教師としての acceptability(ふさわしさ)を測定する実験を行った。母語背景に関わらず、3つのグループいずれにおいても、訛り度とふさわしさの間の相関は高かった。また、英語教員としてふさわしくないという判定はグループに関わらず共通性が見られた一方、ふさわしいという判定については多様性が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
使用目的や聞き手に応じた日本人が目指すべき発音の幅の設定を試みることを目指して、本研究では特に日本人の海技職志望者と英語教員志望者を研究対象に設定している。平成30年度は前年度に引き続き教員志望者に着目し、彼らが目指すべき発音について生徒が目指すべき発音と対照させることによって検討を行い、一定の成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、intelligibility, acceptabilityについて、聞き手の母語の影響について知るために、さらに聴取実験を実施する予定である。また、国際共通語としての英語や機能的負担量といった考え方を取り入れつつ、優先的に習得すべき発音リストの作成も完成させたい。
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Causes of Carryover |
実験データ集計の一部を第三者に依頼せず研究代表者自身が行ったため、当初謝金として予定していた予算を使用する必要がなくなった。また、海外への学会発表がなかったため、旅費の支出が当初の予定よりも減った。聴取実験のために使用する謝金や消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)