2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K02808
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 智之 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (20241739)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 分詞構文 / 動名詞構文 / 否定辞 / 動詞移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、分詞構文と動名詞構文における否定辞の分布の歴史的変遷について、電子コーパスを用いて調査を行った。まず、否定辞を伴う分詞構文は15世紀に初めて出現したが、15世紀から18世紀までは分詞が否定辞に後続する語順(not-V語順)に加えて、分詞が否定辞に先行する語順(V-not語順)も観察されることが分かった。その後、V-not語順は1813年の例を最後に消失し、not-V語順に一本化された。生成文法の枠組みにおいては、動詞が否定辞に先行する語順はTへの動詞移動により派生されると仮定されているので、分詞構文では19世紀にTへの動詞移動が消失したと分析される。 興味深いことに、語彙的主語を伴う分詞構文、すなわち独立分詞構文では、分詞が主語と否定辞の間に現れる語順だけでなく、分詞が主語の前に現れる語順が初期英語では観察される。後者の語順は否定辞の有無に関係なく見られるため、本課題の中心テーマからは外れるが、分詞構文における動詞移動の歴史的発達を考察する上では重要となる。先行研究(Nakagawa (2011))、および電子コーパスを用いた調査結果から、分詞が主語の前に現れる語順は14世紀半ばから17世紀前半まで観察されることが分かった。生成文法の枠組みにおいては、動詞が主語に先行する語順はCへの動詞移動により派生されると仮定されているので、分詞構文では17世紀前半にCへの動詞移動が消失したと分析される。 一方、分詞構文とは対照的に、動名詞構文ではV-not語順(および動名詞が主語に先行する語順)はほぼ皆無であった。この違いは動名詞がTP構造までしか持たないのに対して、分詞構文が初期英語ではCP構造を持っていたことに関連付けて説明する可能性を追求する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年明け以降はコロナ禍の影響により、発表予定であったワークショップが中止になり、また研究総括のための出張も取りやめになった。したがって、意見交換や研究総括の機会を失い、期間延長せざるを得なくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
期間延長したため、3種類の非定形節(不定詞節、分詞構文、動名詞構文)における否定辞の分布について、新たに入手した後期近代英語のコーパスを用いて改めて調査を行う。それに基づき、3種類の非定形節における否定辞の分布の変化に関して、節構造の変化と関連付けて説明を試みる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、予定していた2つの出張が取りやめとなったため、期間延長をせざるを得なくなった。2回の国内出張に加えて、図書や消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)