2021 Fiscal Year Annual Research Report
A Syntactic Study on the Diachronic Development of English Psych-Verbs: With Special Reference to Argument Realization and Grammaticalization
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17K02812
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
縄田 裕幸 島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (00325036)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生成統語論 / 英語史 / 複合不定代名詞 / 関係代名詞 / 日本語文末表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度となる今年度は、心理動詞構文の分析から得られた知見を他の構文や言語に応用した。具体的には下記の3点について研究し、その成果を公表した。 (i)英語複合不定代名詞の発達:somethingなどの複合不定代名詞が数量詞句から発達した過程をコーパス調査によって明らかにするとともに、その変化のメカニズムを「語彙化」によって捉えることを試みた。具体的には、現代英語の複合不定代名詞にX0タイプとXPタイプの2種類があることを提案し、それぞれの構造が現代英語の事実を正しく捉えられることを示した。またX0タイプは数量詞句からの完全語彙化によって、XPタイプは不完全語彙化によってそれぞれ生じたものであると論じた。 (ii) 日本語文末表現の分析:日本語丁寧体の文末表現に対して、saP-SaP-SAPからなる「三層発話構造」を用いて分析を行った。具体的には、発話構造における最上位の主要部saは「っす」によって、中間主要部Saは「です」によって、一番下にある主要部SAは「です」「ます」「ました」によって、それぞれ具現化されると提案した。この構造によって、関係節や譲歩節における各種文末表現の分布が適切に説明できるだけでなく、口語体の「っす」で観察され話し手と聞き手の得意な関係も説明できる。 (iii) 英語wh関係詞の発達:中英語で出現し近代英語で消失した関係代名詞the whichを手がks理に、英語史における関係節の派生の変化を考察した。指示詞関係詞を含む関係節がもっぱら話題化と主要部繰り上げで派生されたのに対しwh関係節は主要部の外的併合によって派生されたと仮定することで、the whichが2つの派生方法をつなぐ中間段階として機能していたと論じた。また、この分析が多くのゲルマン系言語で観察される関係詞のDシステムからwhシステムへという変化の一方向性にも示唆を与えることを示した。
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Research Products
(3 results)