2018 Fiscal Year Research-status Report
進行形の意味機能を巡るState概念の精緻化に関する通時的・共時的研究
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17K02813
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
後藤 万里子 九州工業大学, 教養教育院, 教授 (20189773)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | stative / progressive / simple present / aspectual distinction / generic / habitual / prescriptive grammars |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、前半で、ここ10年程(主として平成29年夏)発表してきた学会会場からのフィードバックにより、本課題論考の客観化を図り、更なるデータ集積と分析を進め、論の展開に説得力を増す為に必要なデータを新たに洗い出した。その成果を9月に出版された書籍『認知言語学研究の広がり』に収録された論文の推敲部分に含めた。後半では、新たにhabitualityやgenericityといった、stativityと最も密接に関連する概念を追求し、それらと進行形の関係を論文に纏め学会誌に投稿した。更に、現在校正段階に入っている『認知言語学事典』に反映させた。 具体的には、動詞の表す事態のaspect分類におけるstateは、従来進行形と相容れないものとして範疇化が19世紀中盤以降進んできたが、事実を検証することにより、それが不適切であることを論証した。というのも、stateを「どの一時点や局面においても同一・同質で事態の全体像を捉えることができ、変化が認識されないものと解釈され、『事態の境界:始まりや終わり』といった変化も認識外にある事態」として先行研究に沿った形で定義し、進行形の本質を「事態を、話し手のイマ・ココといった、言語使用の参与者の直接的共有時空で切り取って捉える」形であると見ると、stateを「イマ・ココ」で切り取って捉えることは可能だからである。 大英国図書館及び国内外の図書館から収集し、EEBO、ECCO 、COHA等やWEB上で採取した近代から現代迄の関係文献の精査により、1789年に始まり特に19世紀後半からの規範文法により、stateの進行形での使用は特に書き言葉で抑制傾向にあるものの、必要性の高い場合、及び規範の束縛を受けない自然な英語では依然として使われてきた現象を通して、例証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エフォート10%の時間が就労時間内には確保出来ず、体調不良が続いたため。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度では、進行形と、stativityの主要関連概念であるhabitualityとが相性度が低い理由、同じくgenericity (物事の一般性・一般原理)とが相容れない理由を、我々が永久不変的な常なるものとして捉えようとする物事の性質や原理の表現と、進行形を使って諸行無常である現実の事物を「イマ・ココ」で切り取って捉える必要性が低いこと、或いは矛盾するからであることに焦点を当てたが、R1年度は、他のActivity, Imperfectivity, Atelicity, Continuity, Durationality, Unboundedess, Gnomic, Structurality等、これまで様々な文献で言及されてきた他の概念も整理し、それらとの関連において、近・現代英文法記述・英文法研究文献・言語哲学書・英文法書および実際の使用実例を、使用文脈と併せて分析することを通し、更なるstativityの精緻化を図る。
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Causes of Carryover |
ECCO(Eighteenth Centuray Collection Online)を1年契約で購入するには残金が当該年度では不足し、次年度予算で購入予定である為
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Research Products
(2 results)