2020 Fiscal Year Research-status Report
進行形の意味機能を巡るState概念の精緻化に関する通時的・共時的研究
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17K02813
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
後藤 万里子 九州工業大学, 教養教育院, 教授 (20189773)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Stativity / Stativity spectrum / The Be + V-ing form / Stative Progressive / The Simple/ Progressive / Tense and Aspect / Descriptive Grammars / Prescriptive Grammars |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、4~7月の研究において、元来英語とは無関係だったstativity概念が、18世紀末から単純形と進行形との峻別手段として、進行形に相容れないとして列挙されてきた動詞群の範疇化が、特に20世紀前半追求される中、スラブ系言語の動詞範疇と曖昧に結びつけられもたらされたことが判明した。此により、I’m liking it がI like itより一時的な印象を醸し出すのは、進行形が、現象の途中状況に叙述対象を狭めるからであり、stativityと相容れないからではないという主張の論拠を一歩推し進めた。これを、Stativity概念とBe + V-ing構文との関係に関する18世紀来の文献上の言及がどう整合するのかについての議論と織り交ぜ、7月末オンライン開催の英国認知言語学会において発表し、有益なフィードバックを得た。 また、本研究から浮かび上がる英語教育と規範文法との関係を、成果の社会への発信の一環として「英文学研究」への投稿書評にと織り交ぜた。 大英図書館等での予定していた資料収集は果たせなかったが、8月以降の調査により、18世紀末の庶民が家族に当てた書簡における進行形全般及びStativeの進行形の頻度やあり方が、現代のそれと近似していることに鑑み、Eighteenth Century Collection Onlineの書簡範疇に入る書簡集に目を通し始めた。そこには、様々なコーパスに基づいた先行研究で考察されたこととは異なる面が浮上した。また昨今では、stativityはgradableな概念であることを前提にStative Progressiveの昨今の動向に焦点を当てる研究も増え、通時的なstativityとBe+V-ing構文の関係に新しい展開も見えてきた。3月27日のオンライン開催福岡認知言語学会において発表し、更に貴重なフィードバックがあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
就業時間には研究時間を確保できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ECCOの書簡集に加えその他のジャンルを読み進め、進行形をコンテクストと共に拾い出し考察する作業を更に進める。3月の学会発表の段階では十分に熟していなかった議論を、5月末締切の『辻幸夫教授退職記念論文集』投稿論文に纏める。また、6月27日-7月2日開催の国際語用論学会(IPrA 2021)で、18世紀の書簡に観察される、進行形の語用論的特性(使用の場・ニュアンス・使用意図等)に焦点を当て、コーパスによる調査だけでは見えにくい側面について発表を予定している。昨年度できなかった調査を行いつつ、より広範囲の進行形の使われ方を分析し、stative概念と進行形、及び単純現在形が担う様々なAorist的な物事の捉え方との関係を精緻化し、2022年に延期された国際認知言語学学会での成果発表を予定している。
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Causes of Carryover |
COVID-19により予定していた海外図書館等での資料収集が出来なかったため。
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Research Products
(3 results)