2017 Fiscal Year Research-status Report
Discourse presentation in present-tense narratives
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17K02820
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
池尾 玲子 専修大学, 商学部, 教授 (20216485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 雅之 鳥取大学, 地域学部, 講師 (00733403)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 現在時制の小説 / 時制 / 話法 / コーパス / 過去時制の小説 / 直接話法 / 間接話法 / 自由間接話法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近年増加傾向にある現在時制で書かれた英語小説の語りを、従来の過去時制による語りとの差異が顕著に現れる話法に着目して、その文体的特徴を解明することである。初年度の平成29年度は、現在時制の英語小説における話法を研究するため、4月から、2000年以降に出版された小説のデータ収集を開始し、データ収集は予定通りほぼ完了した。研究分担者である鳥取大学 中尾雅之氏、研究協力者である広島大学 重松恵梨氏とskype上で月に1,2回の頻度で会議をもちながら、データの妥当性について検討した。ほぼ全編現在時制で書かれている作品のほかに、過去時制と現在時制の語りが混在する作品も多くみられ、そのような作品においては、現在時制の語りが、小説全体の中でどのような役割を果たしているかを見極める必要があった。代表者の本年度在外研究先のランカスター大学からは、Professor Elena Semino, Professor Mick Short, Mr John Heywoodらの助言をうけた。夏季に研究参加者がそれぞれ国際学会で研究の途中成果を発表した。冬季には代表者が、Huddersfield Universityに招かれ、タグ付けを行う前のデータの分析について発表を行った。本年度の研究に基づく、研究参加者各々の論文は2018年度に出版される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、現在時制語りの小説データを収集し、その大まかな特色を把握することを予定していた。 serious fiction, popular fictionのそれぞれにおいて、三人称の小説10 篇、一人称の小説10篇、合計20篇を2000年以降に出版されたものから収集し、このそれぞれから2000 wordsのデータとなる部分を、抽出する作業はほぼ完了した。 データの収集過程で、現在時制語りの小説においては、語り手の状況説明や解釈よりも、登場人物の行動や会話、思考に重点が置かれ、物語の視点も、より登場人物に寄り添ったものである、という全体的な特徴が把握できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、初年度に選んだ約8万語のテキストのうち、5万語に話法のカテゴリーでタグ付けを行う予定である。またその過程において、使用するタグ付けシステムの再検証を行う。話法のコーパスのタグ付けは未だ自動化されておらず、すべて手動で行うため、30、31年と2年間をかけて行う予定である。 3年目は、残り3万語のタグ付けを終了し、コーパスの完成を目指す。また、質的な分析も開始する。過去時制語りの話法と現在時制語りの話法を質的比較し、類似点・相違点を明らかにすることで、現在時制語りの話法の特徴を解明する。 研究の最終年度には、まず、完成した新コーパス内で話法の量的な分析を行い、その後、過去時制語りの小説の話法のデータ(ランカスターコーパス)と量的な比較を行う。
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Causes of Carryover |
平成29年度、代表者が、在外研究でイギリスに滞在しており、国際学会への旅費の支出が抑えられた。繰り越した予算は本年度の国際学会への旅費、資料の購入等に充てる予定である。
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