2019 Fiscal Year Annual Research Report
Anglicising process of Latin verbal constructions in Old and Middle English
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17K02822
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
小倉 美知子 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (20128622)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Old English / Latin / Middle English / syntax / periphrases |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は本研究の最終年度でもあることから、研究成果の発表と論文執筆に重点を置いた。7月にはポーランドで開催された国際英語正教授学会(IAUPE)の国際実行委員としてMedieval Symposium でのセッションの司会と研究発表、本会での発表と司会代行および2つの委員会への出席と、古英語セッションでの専門家としての存在意義を主張しながら、本研究の内容の発表とフロアへの宣伝を行った。それにより、のちに3年後の大会でも古英語セッションの人選を任されることとなった。8月には研究に必要不可欠な写本の調査のため、London, Oxford, Cambridge の図書館を訪問、事前に予約しておいた写本の必要箇所をチェックした。9月にはスペインで研究発表と、Susan Irvine, Javier Martin Arista 教授等との研究打ち合わせを行い、2020年度のスペインの学会での基調講演を依頼された。これは本研究の成果を公表する上での最高の場となるであろう。さらに11月には日本英語学会での発表、ポーランドの中英語学会での発表、12月には日本中世英語英文学会での発表と、研究の成果をできる限り公にしたつもりである。論文も現在までに公表できたものは3編だが、現在印刷中のものが3編で、来年度にかけて公表を続けて行く。何よりも重要な結果と思えるのが、従来ラテン語文献を訳すために古英語が工夫してきた統語法は、必ずしもラテン語の文法・意味に沿うものではないにもかかわらず、独自に発達させた用法によって書きことばとしての英語の基礎が作られていった過程を見ることができ、また実例によって実証できたことである。ラテン語の専門家はラテン語から訳された英語を見て不完全と感じるが、古英語を書いていたアングロサクソン達は、理解しながらも形態的に現わせないラテン語表現を、独自の統語法で創作している。
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