2018 Fiscal Year Research-status Report
古英語韻文の不変化詞の相関用法:時を表す不変化詞を中心として
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17K02825
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
石黒 太郎 明治大学, 商学部, 専任教授 (60296548)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 古英語 / 韻文 / 相関構文 / 挿入語句 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の研究は、2017年度の後半に調査した Beowulf の parentheses 挿入語句と呼ばれる表現に関する論考をまとめ、その調査結果をもとにほかの韻文作品に見られる挿入語句の調査と分析を行うことが中心となった。挿入語句は、節と節とを現代英語とは異なる方法で結びつける、古英語韻文作品の文体的特徴のひとつとされている。20世紀の後半以降に刊行された Beowulf の刊本をすべて調査した成果は、2018年7月に英国 Leeds で開催された国際学会(International Medieval Congress 2018)において "Parentheses in Beowulf" と題して研究発表を行い、その研究発表をもとに内容を拡充した論考を "Parentheses in Beowulf: Editors' Choices" と題して『明治大学教養論集』第537号(2019)、pp. 1-19 に発表した。7月の国際学会では、本研究課題と関連のある不変化詞の研究を続けるフランスの研究者をはじめ、新進気鋭の研究者と議論をする機会を得た。 2018年度は Beowulf のほか、Vercelli 写本、Exeter 写本に収められた韻文作品の調査も始めた。Vercelli 写本の作品の中でも Andreas は刊本が比較的多く、Beowulf と比較することで新しい発見があった。 2018年11月には別の研究課題でロンドンに出張した際、ロンドン大学名誉教授 Jane Roberts 氏と懇談する機会があり、2019年7月にポーランドで開催の国際学会 (International Association of University Professors of English) で発表予定の研究内容について意見を聞くことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作品からの用例収集と分析が未完了ではあるものの、その一方で Beowulf やそのほかの作品における挿入語句について、国際学会での研究発表や論文発表を行うことができ、それが次年度の研究へとつながるものであるため、全体としてはおおむね順調に進めることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Exeter 写本などに所収の作品から用例収集・分析が完了していないため、2019年度前半はその作業を急ぐ。そのかたわらで、2019年7月にポーランドで開催の国際学会での研究発表の準備、Andreas そのほかの Vercelli 写本所収の作品の分析結果をまとめた論考の作成にあたる。
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