2019 Fiscal Year Research-status Report
The Mechanism of Occurrence and the Licensing Conditions of VP Ellipsis: A Comparative Study of English and Japanese
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17K02827
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
高橋 眞理 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (20247779)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 動詞句省略 / 生起メカニズム / 自由動詞 / 日本語 / 英語 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 英語の動詞句省略(VPE)および関連現象・構文に関する最近の注目すべき理論の比較・分析を行った。 2 英語VPE生起メカニズム提案の鍵となった構文に対応する日本語構文のうち、以下のA~F計6種類の動詞句(VP)を含む構文(各5文)の適格性の判断、A~Cに関してはさらにその解釈を問うコンピューター実験を、日本語母語話者計129人を被検者として実施した。A:VPEを受けた、「自由動詞(FV)を主要部とするVP」(FV-VP)、VPE節の主部を強調、B:空目的語(NO)を含むがVPEは受けていないFV-VP、NO-VP節の否定辞を強調、C:NOを含むがVPEは受けていないFV-VP、NO-VP節の主部を強調(以上、刺激文を音声で提示)、D:VPEを受け、その内部からのwh-移動があるFV-VP、E:「そう」で代用され、その内部からのwh-移動があるFV-VP、F:「そう」で代用され、その内部からの移動はないFV-VP(以上、刺激文を文字で提示)。また、被検者129人中67人に対しては、「A~Cの刺激文のどの部分が強調されているか」を問う追加セッションを、本実験直後に実施した。 得られた主な成果は次の2点である: (1) A、B、Cの3構文の多くが「適格である」と判定され、3構文間にその割合の有意差はなかった。ところが、Aの解釈の大半がVPEタイプであったのに対して、BとCの解釈の大半がNOタイプであり、Aと(B/)Cの解釈は対照的であった。これは、日本語にVPEが存在し、それがNO構文とは異なったものであることを示す。 (2) 5段階スケールでの適格性判定の平均値がどちらも中間値より高かったものの、Dへの判定平均はEへのそれより有意に高かった。これは、VPEが内部構造を持ち、その内部からのwh-移動が許されること、そしてVPEが「そうする」構文とは異なった構造を持つことを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各被検者への刺激提示と反応の書き込みに必要な処理が実験室のサーバーの処理能力を超えてしまわないよう、本実験を4セッション、追加部分を2セッションに分けて実施することにより、本実験では計114人分、追加実験では67人分の有効なデータを得ることができた。 データの分析結果は、基本的に研究代表者の仮説が予測する方向の対照を示すものであった。
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Strategy for Future Research Activity |
1 引き続き、英語の動詞句省略(VPE)構文と関連構文の新しい研究成果の整理・分析、および諸理論の比較を行う。 2 引き続き、英語VPEの生起メカニズムと認可条件諸提案の鍵となった構文に対応する日本語構文の整理とそれらの諸特性、意味解釈の可能性、および先行詞条件に関する分析を行う。 3 これまでの実験結果で予想外であった部分の原因分析を行う。また、これまでに調査することができなかったVPE関連構文に関する新しい実験をデザインし、可能であれば実施する。
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Causes of Carryover |
物品費の一部を実験のための人件費・謝金の不足分に充てたため、機器類を購入することができなかった。 実験準備と実施のための人件費・謝金と統計処理フトウエア購入費に充てたい。
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