2017 Fiscal Year Research-status Report
The influence of the markedness on native English speakers' and English learners' production and perception of English lexical stress
Project/Area Number |
17K02828
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
菅原 真理子 同志社大学, 文学部, 教授 (10411050)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 強勢の衝突の有標性 / 完全母音を持つ音節同士の隣接 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、(あ)英単語における有標な強勢の衝突(もしくは完全母音を持つ音節の隣接)の発話と知覚、および(い)英単語の強勢位置判断を、英語の母語話者と非母語話者で比較することが目的である。平成29年度は、本研究課題を進めていく上での基盤づくりにつとめた。まず本研究にて使用するコーパス(Boston University Radio Speech CorpusとBuckeye Speech Corpus)を活用するための整備をした。つぎに完全母音を持つ音節同士が隣接している語の分布が、英語のレキシコンにおいて実際にどの程度有標であるのかをつきとめるため、語頭強勢を持ち2音節からなる単一形態素語の語群において、完全母音音節と弱化母音音節が隣接している語の分布とそれとを比較した。分析にはCELEXデータベースを用いた。その結果、完全母音音節が隣接している語は、完全母音音節と弱化母音音節が隣接している語よりも、圧倒的に少数派であることが明らかになった。さらに完全母音音節が隣接している語においては、語頭音節のモーラ数が2モーラ以上になるケースが大多数を占めたのに対し、完全母音音節と弱化母音音節が隣接している語においては、語頭モーラ音節数が2モーラ以上となるケースは半数をわずかに超える程度であった。また、完全母音音節が隣接している語の語末音節はすべて2モーラ以上であるのに対し、完全母音音節と弱化母音音節が隣接している語においては、語末音節が2モーラ以上であるのは半数以下にとどまることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
応募時の研究計画においては、本研究課題の初年度である平成29年度に発話実験や知覚実験などを実施する予定であったが、それを実施するには、強勢の衝突もしくは完全母音音節が隣接する語が、英語においてどのように分布しているのかについて綿密に調査しておく必要があるため、その調査を先に行うこととなった。また応募時の研究計画では、平成29年度に黙読に基づく強勢位置判断のアンケート調査の分析も行うことになっているが、このアンケート調査の分析は今現在も進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は完全母音音節が隣接する語の特性をさらに明らかにし、そこから音韻理論的に意義ある結論を導き出していく。また黙読に基づく強勢位置判断のアンケート調査の分析結果もまとめる。そしてさらなる黙読に基づく強勢位置判断のアンケート調査も実施し、発話実験や知覚実験につなげていく。
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