2021 Fiscal Year Research-status Report
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17K02830
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
澤田 治美 関西外国語大学, 国際文化研究所, 研究員 (20020117)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | モダリティ / 視点 / 心的態度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主たる目的は、英語の(疑似)法助動詞が表すモダリティの特質を明らかにすることにあるが、本年度は、モダリティ、視点、話し手の捉え方、といった概念に基づいて、文(もしくは、節)の意味解釈について研究し、以下の研究を行った。 (i) 事物比較と命題比較の間:否定比較文の多義性、(ii)「語りの」when節と心理的インパクト、(iii) 依存的モダリティの意味解釈、(iv)話し手の視点と時制解釈の多義性。これらの研究成果を論文集、学会誌に投稿する予定である。なお、Ken-Ichi Kadooka (ed.). (2021)Japanese Mood and Modality in Systemic Functional Linguistics: Theory and Application. John Benjamins.の書評論文を国際雑誌Journal of Japanese Linguistics 2022に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のために、これまで毎年2回開催されてきた「モダリティワークショップ」が対面で開催できなかったのは残念であるが、例えば、今年度に執筆した「依存的モダリティの意味解釈」という論文を通して、想念的法助動詞shouldと補文標識forとの共通性が明らかにされつつある。さらに、Journal of Japanese Linguisticsに掲載された書評論文も、日本語モダリティの研究に資する点が多いと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、これまでの研究成果を理論的に再検討すると共に、データを追加し、各テーマの相互関係を明確にして、『視点・捉え方と多義性』(仮題)と題して出版する予定である。例えば、「比較文」と「原因・理由」を表すbecause節には密接な関係があることは明らかである。具体例を挙げるならば、“Mary is as fit as she is because she runs 3 miles every day.” においては、原因・理由のbecause節を削除することはできない。なぜなら、このタイプの比較文においては、because節は、主節を成立させるための必須要素(すなわち、焦点要素)となっているからである。なお、「「語りのwhen節」と心理的インパクト 」、「依存的モダリティの意味解釈」、「事物比較と命題比較の間:否定比較文の多義性」の3つの論文の出版を準備中である。
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Causes of Carryover |
今年度は、コロナ禍のために、海外から意味論・語用論の著名な研究者を招聘することができなかった。また、従来のように、年に2回開催している「モダリティワークショップ」を開催することができず、そのため、年に2回発行している『モダリティワークショップ――モダリティに関する意味論的・語用論的研究――発表論文集』を発行することも不可能であった(この論文集は、現在、第16巻まで発行されている)。さらに、国内の移動も自粛したため、国内旅費を使えなかった。以上の理由により、今年度の科研費を次年度に繰り越さざるをえなかった。次年度は、「モダリティワークショップ」を2回開催すると同時に、『モダリティワークショップ――モダリティに関する意味論的・語用論的研究――発表論文集』を発行する予定である。
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Research Products
(1 results)