2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02831
|
Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
菊池 繁夫 関西外国語大学, 国際文化研究所, 研究員 (70204831)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 文体 / discourse theme / discourse rheme / addresser / narrator / 意味の重層性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、一人の作家による作品群を横断的に見て、そこに共通項としての主題(theme, topic)を発見し、それに対する題述(rheme, comment)を見出し、その情報の枠組みはどの虚構テクストにも共通であることを示そうとするものである。ここで言うthemeとは文芸評論上のものではなく、Functional Systemic Grammarで用いられている概念を文学作品というclosed textに応用したものである。一昨年度(令和2年度)は、この発想に基づいて3月に「Kathy, Keiko and KazuoーKazuo Ishiguro Never Let Me Goの'Me'を求めて―」『現代英語談話会論集』第15号(現代英語談話会編, pp.1-18)を発表した。令和3年度はそれを大幅に改定して、英語版の論文とし、それを、第1にはイギリスの学術誌に投稿することを考えていたが、英語論文の作成段階でとどまった。原稿としては完成しているので、令和4年度中には出版を試みたい。それと、過去に他のヨーロッパの学術誌に発表した、同じTheoretical Backgroundを持ついくつかの論文とを合わせて書籍の形で刊行することを考えている。刊行はヨーロッパの出版社で、現在いくつの出版社と交渉に入っている。
方法論についてもう少し詳しく述べると、本研究は、言語学のsentenceのレベルで考え出されたinformation structureを虚構発話行為である文学textに当てはめ、sentenceと同様にtextレベルでもthematizationの枠組みが存在することを実証しようとするものであるので、本研究の意義はsentenceを越えた単位の存在の証明と、そのことによって従来は別々に行われて来ていた言語研究と文学研究の両領域をつなぐことができるところにある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記でのべた論文の英文改訂版は完成したが、その出版のための投稿遅れ、また類似の論文を集めた論文集としてのまとめる作業が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
一昨年3月刊行の「Kathy, Keiko and KazuoーKazuo Ishiguro Never Let Me Goの'Me'を求めて―」『現代英語談話会論集』第15号(現代英語談話会編、2020年3月、pp.1-18)を改訂して英文版を完成したので、それをイギリスの学術誌に発表する一方で、それと過去に国際学術誌に発表した代表的な論文との合体を行い、本の形にしようとしている。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により国際学会での発表ができなかったため。
使用計画としてましては、新型コロナによる海外での学会中止がなくなり、関連する国際学会が再開され次第、応募を考えています。関連する学会の開催が無い場合は、国内の学会を考えていますが、応募締め切りが半年以上前になるため、なかなか応募のタイミングが難しい面があります。尚、論文は完成していますので、いくつか、国際誌への応募をしようとしています。
|