2020 Fiscal Year Research-status Report
日本語学習者のポライトネスに関わる言語運用についての基礎的研究
Project/Area Number |
17K02840
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
牧原 功 群馬大学, 国際センター, 准教授 (20332562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 政紀 創価大学, 文学部, 教授 (80220234)
小野 正樹 筑波大学, 人文社会系, 教授 (10302340)
大和 啓子 群馬大学, 国際センター, 講師 (60640729)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ポライトネス / 配慮表現 / 語用論 / 第二言語習得 / 日本語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画では、令和元年度に対面で海外でのデータ収集を行う予定であった。特に海外の大学の学年歴との関係から、1月末から3月までの期間に集中的に実施する計画であったが、COVID-19の発生と流行により計画の進捗に大きな支障が生じた。 令和2年度は、COVID-19の流行の状況をみながら、令和元年度に実施できなかったデータ収集を行うこととしていた。しかし、年間を通じて流行の収束は見られず、この点についは十分な結果を出せていない。 それに代わり、研究代表者、共同研究者は、コーパス等の資料を用いた日本語のポライトネス研究に注力し、その成果をオンラインによる研究集会により共有した。これらの集会は、海外研究協力者も招待し、オープンな国際研究集会として、令和2年度中に2回開催した。それにより、今後の研究の中心的課題ともなり得るいくつかの萌芽的な知見が得られている。 研究代表者の牧原は、留学生のメール文をもとに挨拶表現がインポライトネスとなる現象を取り上げ日本語の挨拶表現にどのようなポライトネスストラテジーがあるのかを検討し、また日本語の授受表現の配慮表現への慣習化についても考察を進めた。共同研究者の山岡は、これまで統語論の範疇で検討の対象とされてきたモダリティについて、発話機能の慣習化という語用論的視点から把握し直すことにより合理的かつ整合性のある理論構築が可能であることを示した。共同研究者の小野は、日本語の多様性という観点から日本語母語話者、日母語話者それぞれの言語運用を問い直し、そこからポライトネスに関わる提言を行っている。共同研究者の大和は、会話に見られる「てしまう」について縮約形「ちゃう」との対比を行いながら分析を進め、ポライトネスストラテジーとして理解することで日本語学習者にとって有益となる言語現象の把握を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の流行によってデータ収集が行えなかった
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では4年間の研究期間であったが、補助事業期間を1年間延長した。令和3年度も年間を通じて対面でのデータ収集等は困難となる可能性が高いことを考慮し、対面での動画データにこだわることなく、既存のコーパスを利用するなどして言語的な部分でのポライトネス研究を進めることとした。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行により、研究のための海外渡航、研究会等参加のための旅費等の支出が発生しなかった。また、対面でのデータ収集を控えたことにより、人件費の発生も抑えられた。
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Research Products
(20 results)