2018 Fiscal Year Research-status Report
多様化する外国人集住地域の日本語のリテラシー問題:その実践的文脈から支援施策へ
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17K02841
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高 民定 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (30400807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村岡 英裕 千葉大学, 国際教養学部, 教授 (30271034)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 外国人集住地域 / 社会参加 / 実践的リテラシー / 公営団地 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に続き、千葉県の外国人集住団地(公営団地)を訪問し、団地の周辺(団地の敷地内の掲示、周辺公園、公民館など)の言語環境や地域の多文化共生の取り組みに関するフィールド調査を行った。また実際その団地に居住する8名の外国人住民の方々に日本での言語環境をはじめ、日本語のリテラシー問題についてインタビュー調査を行うこともできた。それに加え、さらに、調査者らは団地の自治会や集住地域の小学校に対しても分担してフィールド調査を行った。まず自治会の調査では、自治会長へのインタビュー調査と共に、実際自治会が主催するイベントにも参加し、外国人住民への情報提供から、実際のイベントの参加におけるインターアクション、またそこでの言語問題と調整過程を一通り観察することができた。次に、団地周辺の小学校の調査では、小学会の先生に外国につながる児童に対する学校側の共生教育の取り組みを窺ったり、実際に小学校で行う日本語の取り出し授業の様子を見学することができた。昨年度はこうしたフィールド調査を通して、当該地域における外国人住民の社会参加や、それに伴うリテラシーの問題の概要を得ることができた。 また、次年度に行う予定の海外の集住地域の予備フィールド調査も行った。中でも多文化政策が進み、外国人集住が増加している韓国の安山市の多文化特区における言語環境と外国人住民への支援の取り組みを調べた。それにより、本調査に向けての課題や次年度の調査計画を考えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分担者や研究協力者にも調査内容や対象も分担してもらっており、今のところ研究は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目である本年度は、2年間の予備フィールド調査で明らかになった課題を検討し、また修正しながら、集住地域の形成時期や環境が外国人住民の社会参加にどのように影響しているかをさらに検討する。そのために、浜松や群馬など従来の外国人集住地域と、集住地域の形成が新しく、比較的にコミュニティ形成が弱い千葉などの集住地域を比較・分析する。その際、昨年度の同様に集住地域の外国人住民の当事者へのインタビュー調査をも欠かせず行う予定である。 また、海外の調査として、イギリスのタワーハムレット・ロンドン地域や、ドイツのベルリンにおける外国人集住を調べる予定である。イギリスには日本の公営団地と類似する団地があり、そこにおける言語環境と外国人住民への支援の事例に関する情報や資料収集を行っていく。また韓国の方も昨年に引き続き、安山市やソウル市、釜山市などの大都市における外国人集住地域を調べていく予定である。さらに、本年度は研究の実績報告にも力を入れ、6月の日本言語政策学会での発表をはじめ、後期には関係者を招いた公開シンポジウムを開く予定で、本研究の実践的なリテラシーや社会的な貢献に向けた可能性も検討していく。
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Causes of Carryover |
昨年度は調査時の謝礼にかかる費用をできるだけ節約したり、謝金がかかる文字化作業においてもその一部は謝金を使わず、研究者自身で行うなど経費を節約していたため、次年度使用額が発生した。次年度は海外でのインタビュー調査などを予定しており、海外出張費や文字化データの翻訳などの謝金にさらに費用がかかると予想される。次年度使用額はその費用に当てる予定である。
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Research Products
(5 results)