2020 Fiscal Year Research-status Report
多様化する外国人集住地域の日本語のリテラシー問題:その実践的文脈から支援施策へ
Project/Area Number |
17K02841
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高 民定 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 准教授 (30400807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村岡 英裕 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 教授 (30271034)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リテラシー実践 / 社会参加 / リテラシー支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は最終年度として千葉県以外、とりわけ岡山県の外国人集住地域におけるリテラシー問題や地域の多文化共生の取り組みに関する調査を行い、これまでの調査地域との比較・考察を行う予定であった。 しかし、コロナ禍の影響で予定していた現地調査が実行できなかったため、予定を変更し、主に地方自治体が公表している報告書やプランなどの文献調査や、関係者へのオンライン・インタビューをもとに千葉市と岡山市のそれぞれの多文化共生の概要と日本語のリテラシー支援の課題等を検討した。 地方自治体の多文化共生政策を見るにあたっては、3つの視点、すなわち(1)Berry(2006)の「文化適応ストラテジー」モデルをもとにした移民やホスト社会の態度、(2)多文化共生の政策が資料においてどのように位置付けられているか、(3)多文化主義にもどつく言語政策という視点から考察を試みた。 また、これらの政策的な考察と合わせて、外国人住民の社会参加やリテラシー支援のあり方を考えるための理論的枠組みや調査方法を再検討した。理論的枠組みとしては、Heath(1983)やStreet(1984)の「リテラシー実践」の視点をもとに、村岡(2010)の言語管理の枠組みを援用し「リテラシーイベントにおける管理」と「リテラシー実践に向かう管理」に分けてこれまでの分析をし直した。また調査方法においては、単にフィール調査をするだけではなく、Barton&Hamilton(1998)のエスノグラフィー調査方法を参考に、集住地域の言語環境をはじめ、多様なリテラシーイベントにおける当事者へのリテラシー実践をインタビューにより調べた。その際、縦断的に調査を行うことで、リテラシー実践をめぐる当事者の意識がどのように変化し、社会参加の実践においてどのようにリテラシー問題を調整しているかを通時的な視点から考察した。その結果は高(2021)でまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍の影響で予定していた地方のフィールド調査が実行できず、全体として研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
期間延長により最終年度となる今年度は、昨年度できなかった千葉県以外、とりわけ岡山市の外国人集住地域のフィールド調査を実行する。地方でのフィールド調査は、できるだけ現地に出向いた調査を予定しているが、コロナ禍の状況により調査地への移動や対面調査が難しい場合は、現地の連帯研究者や調査協力者を増やし、調査協力を依頼する予定である。また当事者へのインタビューは、オンライン・インタビュー等に切り換えて行う予定である。 研究課題の分担については、昨年度同様に外国人当事者をはじめ、行政、自治会、小学校、自習夜間中学校でのリテラシー支援に分け、追加調査と研究成果をまとめていく。 最終的にはこれまでの研究結果を総合的にまとめ、リテラシー実践としての社会参加の実態と支援についての課題と展望を明らかにする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で地方の調査で旅費や謝金として使う予定であった経費が使えなかったため
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Research Products
(2 results)