2019 Fiscal Year Annual Research Report
The meaning of studying Japanese for international students in Japan 
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17K02855
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中山 亜紀子 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (20549141)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ライフストーリー / 解釈学 / 質的研究 / 言語イデオロギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研事業の間に、カナダ、中国、韓国など海外での発表、国内で行われた国際学会での発表などを行った。その過程を通じて、日本語教育の中では、比較的受け入れられている解釈学的ライフストーリーを使った手法が、海外では少数派であり、その意義を積極的に発信していく必要性を感じた。また、国内でも解釈学的手法を普及するために、さまざまな学会での発表を行った。その中で、解釈学的調査手法が、言語教師の世界を豊かにしてくれることを再発見したことは、大きな収穫であった。 さらに、本研究に関わるインタビューの中で、現在、世界を席巻している英語=国際語という言語イデオロギーが、日本語学習者がなぜ日本語を選択するのか、非常に大きくかかわっていることが明らかになった。具体的には、韓国における日本語学習者は、日本語を選択する際に、就職などの「言語道具主義」的な観点から日本語を戦略的に選択していた。さらに、日本に留学に来ても、日本における母語話者神話によって、彼らは日本語能力によって相対的に周縁化される経験をしており、結果として、日本の中で英語を話す外国人との交流に投資をするという捻じれた状況が生じていた。解釈学的ライフストーリーは、従来、個人的な世界を見ることを得意としてきたが、個人に関わる大きな世界の事象も扱えることが明らかになった。 今後は、ライフストーリーという研究手法を使いつつ、言語イデオロギーなど言語学習に関わるより大きな世界を描くことにも力をいれていきたい。そのためには、日本語学習者の世界を、学習者が育った世界も含めて描く必要があり、海外の日本語教育関係者と連携を深める必要性があるだろう。
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Research Products
(5 results)