2018 Fiscal Year Research-status Report
いきいきとした介護のオノマトペ使用のための学習映像教材の開発に関する研究
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17K02857
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
神村 初美 東京福祉大学, 教育学部, 准教授 (80764654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西郡 仁朗 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (20228175)
小平 めぐみ 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 准教授 (00611691)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 介護のオノマトペ / 痛みのオノマトペ / 外国人介護従事者 / AI / スマートフォン用アプリ / 動画 / ロールプレイ形式 / 繰り返し学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
H30年度は、H29年度の「基礎データ」と「データベース」から、学習アプリ「おのまとコ」の開発に至り、パイロット的なフィードバックも加えた。H29年度の「基礎データ」では、「利用者からの訴え」で「痛みのオノマトペ」が顕著に見られるとともに、これら「痛みのオノマトペ」が外国人介護従事者には最も分からないと示されたところから「痛みのオノマトペ」で「基礎データ」を確定した。H29年度実施のモンゴル調査と同様の調査をH30年度もインドネシアで行った。特に「ごろごろ」は両調査で突出した不理解が判明したため3種で「基礎データ」に反映させた。結果、介護現場での使用頻度上位7語彙、「目がごろごろ」「のどがごろごろ」「おなかがごろごろ」、「むかむか」「がんがん」「ちくちく」「ずきずき」を基本部、「ぱんぱん」「ひりひり」「ぴりぴり」「ずーん」「きりきり」の5語彙を拡張部とし「データベース」を確定した。国内事情を鑑み基本部の開発を急いだ。学習アプリは、手軽な自学自習を可能とするためスマートフォン用とし、コンテンツには、アカデミアシステムズのコンピュータ(AIを用いたChat Bot)と、アプリプラットフォームを適用させ開発した。「おのまとコ」と命名し、英語、中国語、インドネシア語、ベトナム語、日本語による5か国語版仕様とした。「おのまとコ」の特長は以下の3点である。①視覚、聴覚情報を駆使した音感のイメージビデオ、使い方の解説、介護現場での会話モデルの動画によってオノマトペのイメージや使用場面を分かりやすく提示、②コンピュータ(AIを用いたChat Bot)によりロールプレイ形式での対話練習を可能とさせた、③間違い部分を分かりやすく指摘し正解度を%で定量表示させる機能で、繰り返し学習の動機づけを高められる。また、インドネシア人EPA介護士2名によるパイロット的試用からフィードバックを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)H30年度計画時予定の介護の基本オノマトペの選定とその場面、及び必要条件の解明②-「基礎データ」確定段階について:H29年度の調査結果から、「痛みのオノマトペ」に焦点化させ、そこにモンゴル及びインドネシア調査の結果を加えた。結果、「基本部」と「拡張部」とに分け、「基礎データ」を確定した。また公開されている「日本語でケアナビ」と「基礎データ」を照合させ、著しい重複がないことを確認した。とくに、「のどがごろごろ」「足がぱんぱん」といった実証データによる介護のオノマトペは、「日本語でケアナビ」には見られず、本研究の先駆性が改めて確認された。 (2)H30年度計画時予定の介護のオノマトペの学習映像教材のためのデータベース構築と検討について:(1)で確定した「基礎データ」により「データベース 」での例文、会話、演習問題を作成し、客観的な検証を介護の専門家により加えた。また、 介護のオノマトペ学習映像教材試作のための検討会を、業者側を交え適宜行い、その後に「データベース」の翻訳を、介護業務に精通する英語、中国語、インドネシア語、ベトナム語の各母語話者、各2名に依頼し、各母語話者同士のやり取りから翻訳における信頼性を図った。 (3)H30年度計画時予定になかった、介護のオノマトペの学習映像教材の試作と評価について:H31年度の研究計画項目であったが、H30年度外国人介護従事者の受け入れ施策が急展開するのをうけ、着手した。介護のオノマトペの学習映像教材の設計と制作について業者と検討したうえで、一括業者委託で行った。一方、学習者目線でのフィードバックは2名にとどまったため、H31年度に、初級レベルでの学習者を対象としたフィードバックを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
H31年度は、開発した「おのまとコ」を広く公開し、試用からのフィードバックを得るとともに学習効果に焦点を当てたアンケート調査を行う。そして研究成果として各種の研究会等で積極的に情報を公開し、外国人介護従事者および受け入れ施設等の教育支援に資する。H31年度前半で、海外協力者所属機関(インドネシア・ベトナムなどの送り出し機関)および、国内の各施設や教育実践現場での試行を依頼し、フィードバックを得るとともにアンケート調査を行う。H31年度後半で、H31年度前半に得られたフィードバック及びアンケート結果をまとめ、整理し、検証する。そして、これらの検証結果と開発過程で得られた知見を整理する。そこから、国内外の学会で発表を行うとともに、申請者が副代表を務める「介護と看護の日本語教育研究会」において、外国人医療・福祉人材の育成に携わる教育関係者のための研修等に援用、活用する。このような方策をもって、より広く社会に還元する計画である。
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Causes of Carryover |
次年度に6048円繰り越すが、これは、謝金等を学内研究費で賄うことが叶ったことに由る。平成31年度は、本科研の最終年度であるため、フィードバックやアンケートを広く行う予定でいる。そのため、それらの謝金に充てたい。
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Remarks |
2018.9.8/9.「アジアと日本における外国人材の雇用と定着を考えるインドネシア人の労働と定着促進のための連携・教育研究会 inBandung」(略称:バンドン国際セミナー)の開催に当たり、日本側代表を務め、外国人医療福祉人材のための日本語教育の推進に努めた。
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