2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Subtitle Translation of Visual Works: For Language and Cultural Education Focusing on Intercultural Understanding
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17K02867
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
保坂 敏子 日本大学, 大学院総合社会情報研究科, 教授 (00409137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 めぐみ 日本大学, 大学院総合社会情報研究科, 教授 (50302906)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 映像作品利用 / 字幕翻訳 / 翻訳研究 / 同化翻訳 / 異文化間理解 / 言語文化教育 / テキストマイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本の映像作品を使って自律的に日本語を学ぶ学習者が字幕翻訳を利用しても一人では学べないことは何か、このような学習者に言語教師は何ができるかという問いに対して、翻訳研究を枠組みに、字幕翻訳によって変容する要素を明らかにすること、それを基に異文化間理解重視の言語文化教育のための映像作品利用の参照枠を策定することを目的とする。 1年目は、分析対象とする字幕翻訳付き映像作品を選定し、まず、『君の名は。』の日本語のせりふと英語字幕翻訳の分析を行った。また、翻訳研究を調査して分析の枠組みを検討した。2年目は、『君の名は。』の分析結果を学会で発表した。また、「同化翻訳」を本研究の分析の枠組と定め、『君の名は。』『東京物語』『そして父になる』の日本語と英語字幕のテクストを質的・量的に分析し、学会発表2回とワークショップ1回を行い、論文にまとめた。3年目は、スペインの国際交流基金の招聘で字幕翻訳・文化翻訳に関する講演とワークショップを行った。また、『となりのトトロ』の年代の違う2つの英語字幕翻訳について、「同化翻訳」の観点から質的に分析し、さらに、テキストマイニングにより両者の違いを量的に分析してそれぞれ学会で発表した。この他、『君の名は。』の英語とフランス語の字幕翻訳を比較分析した結果が学会発表に採択された(発表は2021年度に延期)。4年目(COVID-19の影響で期間延長)は、他言語から日本語へ翻訳・翻案について、アメリカのTVドラマ『the good wife』を取り上げて量的分析を行い、学会で発表した。 以上の研究を通して、①社会文化的要素、②語用論レベルと文化レベル、③字幕翻訳における付加・削除・言い換えが、異文化間理解のための映像利用の参照枠になることを示すとともに、「同化翻訳」は時代により変化すること、字幕翻訳は翻案より「異化翻訳」の傾向にあることを明らかにした。
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Remarks |
・2020年12月12日 2020年オンライン香港日本語教育セミナー 「遠隔教育による日本語教育 -効果的なオンライン授業を探るー」招待講演 ・2020年12月13日 同上 「アクティブラーニングのための反転授業デザイン」ワークショップ招待講師 ・2021年1月16日 2021年1月BATJ(英国日本語教育学会)セミナー 「映像作品を介したオンライン授業のデザイン -『文化翻訳』を重視して-」招待講師
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Research Products
(8 results)