2018 Fiscal Year Research-status Report
CBI and CLIL for Russian as a foreign language education in Japan: Curriculum development, teacher learning, and SLA for learners
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17K02884
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
横井 幸子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (70635119)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ロシア語教育 / 内容重視型の言語教育 / 外国語教育 / 主体的・対話的で深い学び |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に引き続き、2018年度は、3つの高校からご協力をいただき、高校のロシア語教育の文脈に適した内容重視型のロシア語教育プログラムの開発に注力した。特に、2018年3月に新学習指導要領が公布され、新たに打ち出された学習理念「社会に開かれた教育課程」「主体的・対話的で深い学び」を踏まえたカリキュラムや授業運営が必要とされている。具体的な取り組み内容は以下の通りである: 1) ロシアとの交流を軸とする「社会に開かれた」ロシア語教育プログラムのデザインと実施 ー 北海道でロシア語を開講している高校2校において、それぞれロシアの学校で日本語を学んでいる生徒たちとのプロジェクト型の交流授業を実施した。具体的には、iPadを活用したオンライン交流授業やビデオレター交流授業を計画・実施した: 2) 高校のロシア語教育の文脈における「主体的・対話的で深い学び」のあり様の具体化 ー 例えば、生徒同士を基本的に1対1で交流させる等、主体性を発揮しなければ交流が成立しないような状況を作ること、また、個々のことば活動に、明確で具体的な目的を設定することが重要であることが確認できた。このようにして、ことばの持つ対話性、そして人は具体的な文脈の中で出来事に共鳴し経験を重ねてことばを獲得していくという言語習得の本来的なあり方に留意する必要があることが明確になった: 3)客観的評価方法(TRKI/CEFR)導入のための教材開発 ー ロシア語の学習内容とTRKI (初級・基礎レベル) の間に話題/内容面での重なりは見られるか、上記プロジェクト型授業内容を分析した結果、ほぼ全ての言語活動において初級・基礎レベルに適した話題を扱う内容であることが分かった。それをベースにして、特に会話(対話と発表)の評価ツールを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は下記の活動を計画した:1) 内容重視型授業モデルの開発1(実践研究)高校や大学教員の中から開発チームメンバーを募り、ヨ ーロッパ共通の語学能力到達度指標であるCEFR(ロシアではTRKI)のレベル別に開発チームを組織する。対象と する語学到達度レベルは、初級、中級レベルに当たるA1レベルからB1レベルを想定する。続いて、各チームメンバーが自分の授業で実施可能な内容重視型授業の単元案をチーム毎に恊働で作成する:2) ロシア語教育における内容重視型授業の検証1(実証研究)まず、データとして、フィールドワーク、授業観察/録音あるいは録画、インタビュー、学習者たちが作成した ロシア語原稿などを収集する。研究参加者の同意の上、訪問回数、授業観察方法などを詳細に検討する。
上記の取り組み内容のうち、中級レベルの教材開発・実施がやや遅れているが、その他は教材開発も含めて計画以上に進めることができたため、全体としては概ね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)高校や大学教員の中から開発チームメンバーを募り、CEFR A2-B1レベルの内容重視型授業の単元案を作成・実施し、教材開発する。また、2018年度と同様、評価ツールも開発する。 2)内容重視型のロシア語授業を実施するにあたっての、デザインや開発の方法や流れを提示し、各到達度レベル毎の単元案、指導案を含む冊子を作成し、配布する。また、ロシア語教育研究会のウェブサイト(http://rokyoken.web.fc2.com/)や、先行科研プロジェクトで立ち上げたロシア語教育支援サイト(http://kyoiku-ru.org)にも公開する。 3)本プロジェクト全体の成果を総括し、申請者が所属する国内外の研究会、学会(ロシア語教育研究会、日本ロシア文学会、American Association for Teaching of Foreign Languages, American Association for Applied Linguisticsなど)や雑誌(『ロシア語教育研究』、『ロシア語ロシア文学研究』、Русский язык за рубежoм、Foreign Language Annalsなど)で発表する。
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Causes of Carryover |
人件費が低く抑えられたため、次年度使用額が生じた。次年度は、本プロジェクトの成果を国内外の学会、雑誌等で発表するため、発表のための旅費・参加費用等の一部に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)