2017 Fiscal Year Research-status Report
中・高等学校での英語授業における英語によるアクティブラーニングに関する研究
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17K02889
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
宮迫 靖静 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (60713526)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アクティブラーニング / 協同学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,アクティブラーニング(AL)の視点から中・高等学校の英語授業における教師・生徒の英語使用の実態を調査し,その改善を提案することである。具体的には,(1)ALの理論研究及び効果に関する実証研究の概観,(2)中・高等学校の英語授業における教師・生徒の英語使用及びALの実態調査,(3)調査に基づく英語授業におけるALの提案,(4)提案に基づく授業実施とその効果検証,の4つである。 平成29年度には,(1)と(2)の一部を実施した。(1)に関しては, 国内の文献はCiniiで「効果,アクティブラーニング,中学校(または高校)」と検索し,各々14と20の研究を概観したが,ALの効果を検証したものは殆どなく,これまでの指摘(溝上,2014)と一致した。海外の文献はERICで「active learning, effects, secondary education」と検索し70の研究を概観したが,約半数で効果が検証され,概ねALの有効性を示された。大学教育に関するメタ研究(Freeman, et al, 2014等)や中等教育に関するメタ研究(Lipsey, et al., 2012等)が示すALの効果を追認された。 理論面では,ALに係る協同学習に注目した。協同学習がALに及ぼす影響に関して,5つの基本的構成要素(Johnson & Johnson,2009)の観点で,中・高等学校におけるALの実践例(西川,2016,2017,山本,2015,2016)を探ったが,「グループの改善手続き」以外の4要素の係わりが示された。 (2)に関しては,大学生を対象とするALの実践を報告し,大学生を対象とする協同学習に関する認識を調査する質問紙を作成した。これは,中・高校生のAL及び協同学習に対する認識調査の基になるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究実施計画は,(1)ALに関する理論研究及び効果に関する実証研究における知見を整理し,(2)中・高等学校の英語授業における教師・生徒の英語使用及びALの実態調査に係る準備をする,であった。 (1)に関しては,研究実績の概要に記したように,我が国の中・高等学校におけるALが実証的研究の段階にないことが確認され,ALにおける協同学習の重要な役割も示すことができた。(2)に関しては,ALに係る協同学習に関する大学生の認識を調査する質問紙を作成した。これは中・高等学校の英語授業における教師・生徒のALへの認識調査に繋がるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度では,(1)大学生の英語教育科目における協同学習に対する認識及び協同学習に基づくALが及ぼす影響を調査し,(2)小学校で英語を指導する教師及び中・高等学校の英語教師を対象に,英語授業におけるAL及び協同学習に対する認識の調査をする。同時に(3)中・高等学校の英語授業における英語使用の実態も調査する。更に,この調査の分析に基づき(4)小・中・高等学校におけるAL及び協同学習の実施に関して提案する。 (1)は,研究課題関連の調査であるが,研究課題の遂行に示唆を与えてくれるはずである。(2)を実施するのは,教師の認識・価値観が指導に及ぼす影響が極めて強いため(Borg, 2003)である。教師の認識・価値観に反するALは成功し難いので,教師の認識・価値観次第では,まず教師の認識・価値観に対応する必要があるかもしれない。この点と(3)の英語使用の実態を考慮しながら,(4)にあるように,英語授業におけるAL及び協同学習に関する提案をし,次年度において教育現場の実態に即したAL及び協同学習の実施を目指す。
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Causes of Carryover |
研究の進捗に遅れはないが,次のような理由により次年度使用額が発生した。(1)質的分析ソフトが販売中止となり,購入できなかった。(2)文献のオープンアクセスが進んでおり,海外からの文献複写が殆ど不要であった。
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Research Products
(1 results)