2017 Fiscal Year Research-status Report
Investigation into the use of first-person pronouns in English research articles (RAs) and its application to the instruction of English RAs writing
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17K02898
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
川口 恵子 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (80369371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 晴美 日本大学, 法学部, 助教授 (00366527)
伊東 田恵 豊田工業大学, 工学部, 准教授 (40319372)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 第1人称代名詞 / 学術誌論文 / 使用頻度 / コーパス / 研究アプローチ / ディスコース機能 / 英語教育 / 工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度実施計画に基づき、英語教育学関連の学術誌論文中の単数・複数第1人称代名詞を、1)使用頻度、2)出現箇所、3)共起動詞と研究手法との関連性において調査した。English for Specific Purposes, Journal of Second Language Writing2誌で直近に出版された論文計84編(質的・量的・混合型研究)でコーパスを作成、分析を行った。 分析結果より、質的研究の論文の方が量的・混合型論文より第1人称代名詞の使用頻度が有意に高かった。これより、論文中の第1人称代名詞の使用は、必ずしも個人のスタイルによるものだけではなく、質的研究に求められる研究記述と第1人称代名詞使用により達成されるコミュニケーション上の目的に関連があることがわかった。英語論文の書き方指導には、このように研究手法による観点からも第1人称代名詞の使い方に言及する必要があることが示唆された。本研究成果を53rd RELC International Conferenceで発表した。 また、H30年度に実施予定の工学系学術論文中の第1人称代名詞研究の予備調査として、応用物理学とロボット工学分野の国際学術誌論文計42編の論文中の代名詞を分析した。こちらの研究では、2つの分野間で第1人称代名詞の頻度に有意差が見られた。この頻度差は、主に情報処理のための独自の理論モデル構築が主眼であるロボット工学と、応用物理学の諸問題を扱う応用物理学という2つの学問の性質の差に関連していることが示唆された。本研究については統計数理研究所共同研究リポート404に発表した。 以上の研究を通じて、代名詞の出現箇所の特定・比較をする際に、研究アプローチにより論文のセクション分けが大きく異なる点が問題となった。論文の構成と研究アプローチとの関連性についても掘り下げる必要性が認識された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度に実施予定だった調査・分析は終了した。しかし、H30年度に分析を行う工学系学術論文をH29年度中に決定する予定であったが、候補論文をまだ絞り切れていないため、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度は当初の研究実施計画の予定通り、異なる研究手法をとる工学系学術誌論文中の第1人称代名詞の使用について分析・調査をする予定である。現在、情報システム分野での社会学的アプローチをとるBehavioral Science Approachの論文と従来のコンピュータ分野で行われてきたDesign Science Researchのアプローチをとる論文を比較する予定である。しかし、これら異なる研究手法をとる論文中の第1人称代名詞使用の差異が全く観察されない可能性がある。その場合、H29年度に行った英語教育学分野内の質的・量的研究手法が論文中の第1人称代名詞の使用に及ぼす影響についてさらに、分析する学術誌の種類を増やして行うことを検討する。学術誌の対象を広げて分析調査する理由は、H29年度に得られた結果を一般化するためにはより多くの学術誌論文をさらに分析することが望ましいこと、また、質的・量的研究手法以外に昨今増加している混合型研究アプローチの第1人称代名詞使用への影響がH29年度の研究だけでは確定できなかったためである。H31年度は、当初の研究計画通り実施する。
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Causes of Carryover |
成果発表を行った国際学会が3月中旬であり、会計年度末であったので、次年度に使用することとした。
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