2019 Fiscal Year Research-status Report
優れた外国語授業創出のためのネイティブ/ノンネイティブ教員の連携・協働
Project/Area Number |
17K02906
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
中川 良雄 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (30261043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 政義 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (00771007)
舟杉 真一 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (40411003)
倉田 誠 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (80241157)
岡本 俊裕 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (80373083)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ネイティブ教員 / ノンネイティブ教員 / 資質・能力 / 連携・協働 / 優れた外国語授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨今の外国語教育では、従来の文法訳読法やオーディオ・リンガル教授法からコミュニケーション重視の教授法、教師主導型から学習者主体型の教育スタイルへと移行しつつある。またネイティブ教員を積極的に活用し、学習者のコミュニケーション能力を向上させるための工夫もなされつつある。それと同時に、教員に求められる資質や能力も変化してきている。 研究代表者は、これまでに日本語教員に求められる資質・能力や「優れた」外国語授業について、様々に調査研究を実施してきた。そこで日本語教員に求められる資質や能力は、日本語教員に特化したものではなく、英語教育や中国語教育などに一般化(共通化)した概念として捉えることができるのではないかと思い至った。 そこで海外の日本語教育において、ネイティブ/ノンネイティブ教員の資質や能力を探っていけば、両者の連携・協働により「優れた」外国語授業の創出が可能となるのではないかと考えられる。 今年度までに中国・韓国・タイ・ベトナムにおいて、ネイティブ/ノンネイティブ教員に求められる資質・能力を問う、学習者を対象としたアンケート調査を実施し、また京都外国語大学の外国語教育におけるネイティブ/ノンネイティブ教員の連携・協働に関するインタビュー調査を展開し、現時点での調査結果をまとめた。一連の調査から得られた知見は、本研究の目指す外国語教育の一般化を結論付けるものとなってはいるが、この結果の確証には、さらなる継続調査が必要である。調査範囲の拡大と拡充により、より「優れた」外国語教育の追及も可能となろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のごとく本研究の調査範囲は、国内はもとより広く海外に及ぶ。調査は、これまでほぼ順調に進んではきたと言えるが、次の理由により調査に遅れが生じていることも歪めない。 一つには、公務や雑務から、調査出張に必要な日程の確保が困難であることや調査先日程との擦り合わせが困難であること、また調査先機関での調査対象者(調査協力者)の確保が困難であることなどのスケジュール上の問題。二つには、2020年初旬からの新型コロナウイルス感染拡大による飛行機便の欠航と海外渡航の禁止、国内外学会・研究会の中止や延期により調査結果のフィードバックが不可能であること、2018年の台風19号や自然災害による調査自粛等による状況上の理由。三つには、調査地域をどこにするか、教員や学習者から一定数の協力が得られるかという体制上の理由。 これまでの調査は、上記困難を回避した形で実施してきたが、調査の拡大・発展のためには、何かを犠牲にするか、新たな研究方法を模索するかしなければならない。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、飛行機の海外出発便が欠航し、当面の海外出張は不可能となった。また国内外の学会・研究会が相次いで中止や延期となっている。こうした状況に鑑み、これまでの海外へ直接出向いてのアンケート、インタビュー調査は不可能である。新たな調査研究方法の模索と確立を余儀なくされる。 そこでWebを活用したアンケート票の配布と回収、Skypeや遠隔会議システムを用いてのインタビュー調査の可能性について模索中である。 また海外での研究協力者を募る必要もある。本学大学院修了者や学部卒業生で海外で日本語教育を担当している者も多数いるため、そうした修了生・卒業生を積極的に活用した共同研究も視野に入れなければならない。 これまでにアンケート調査を展開してきた中国、韓国、タイ、ベトナムにおけるインタビュー調査実施に加えて、新たに台湾、マレーシア、オーストラリア等の国々において、アンケート、インタビュー調査を拡大する。さらに国内における外国語教育として、すでに京都外国語大学での調査は終了しているので、他大学の外国語教育(ネイティブ/ノンネイティブ教員のいる大学)についても調査を拡大し、外国語教育の一般化(共通化)を図る。 調査結果は、国内外の学会誌や大学紀要等に公表し、フィードバックを図ることは言うまでもない。新型コロナウイルスの感染が終息した折には、海外調査や海外の学会参加も厭わない。
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Causes of Carryover |
ネイティブ/ノンネイティブ教員に求められる資質・能力及び両者の連携・協働にかかる本研究は、2017年度~2019年度にかけてほぼ順調に進んだものと思われる。しかし①自然災害や新型コロナウイルス感染予防の観点から、②調査対象国との国際関係の悪化等から調査結果の公表に遅れが生じ、資金を余すことになっている。 また本研究で得られた結論を立証するには、さらなる調査対象を増やし、予測を確証づける必要がある。 昨年度までに調査の及ばなかった地域へと調査範囲を拡大し、結果をフィードバックするための資金として活用したい。
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Remarks |
『優れた外国語授業創出のためのネイティブ/ノンネイティブ教員の連携・協働』所収:「京都外国語大学の学生が求めるネイティブ/ノンネイティブ教員の資質・能力と連携・協働のあり方」、「京都外国語大学学生は、ネイティブ/ノンネイティブ教師から何を学ぶか」、「海外で求められるネイティブ/ノンネイティブ日本語教師の資質・能力と『優れた』日本語授業」とネイティブ/ノンネイティブ教員の連携・協働」
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