2018 Fiscal Year Research-status Report
統語的プライミング効果を利用したタスクは長期的にL2文理解と産出を促進するか?
Project/Area Number |
17K02908
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
平野 亜也子 立命館大学, 情報理工学部, 講師 (10755490)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 英語教育 / 英文理解 / 英文産出 / 繰り返し接触 / 統語的プライミング効果 / 受動文 / 関係節文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトの目的は、日本人英語学習者(JEFLLs)を対象に、英文理解における困難点を解明するとともに、統語的プライミング効果の発現を利用しながら意味と形式とに注意を向けさせるタスクが英文理解と産出を促進するかどうかを調査するものである。また、本研究で対象とする構文は、受動文と関係節である。本年度は、過年度に実施した理解における学習実験の結果とそれに基づく発表論文をもとに、国際学会で研究発表を行なった。その学習実験とは、文字又は音声で提示された英語の能動文または受動文理解において、名詞の有生性を操作することで、統語と意味とのマッピング処理が音声と文字といったモダリティで困難性に違いがあるのかどうか、また英語習熟度が理解の困難性に影響を及ぼすのかどうかを検証したものであった。第二言語習得や言語教育分野における欧州で最大級のEuroSLA が主催するEuroSLA 2018でのポスター発表を行った結果、今後の研究に役立つ有益な意見をもらうことができた。また、2014年度に第二言語習得論の知見に基づいて受動文習得を目的とした英文産出課題としてディクトグロス(ペアでのライティング活動)を用いた学習実験を行ったが、本年度は、この実験結果を統語的プライミング効果の発現という観点から検証した。そしてその成果を研究論文として共著出版するとともに、RELC2019(国際学会)において口頭発表を行った。その結果、有益な意見をもらうことができ次の実験に向けた方向性を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、統語的プライミング効果のリスニングへの促進効果を検証する実験に向けて、その実験材料の作成と実験実施を行うつもりであったが、材料の作成と実験実施に至らなかった。過年度に実施したリーディングへの促進効果を検証した実験結果と比較できる実験デザインを検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
提示文並びに内容確認文の音声の提示時間など、いくつかの検討項目を最終確認したあと、実験材料を作成し、実験実施を進める。
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Causes of Carryover |
次年度の実験実施にかかる、人件費、謝金、実験材料費等に使用するため。また、本年度に購入予定であった書籍を次年度に購入することとする。
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